開幕3連敗を皮切りに、対戦が一巡した第5週の時点で4勝6敗。プレステージインターナショナル・アランマーレは今一つ波に乗ることができていなかったが、Wリーグフューチャーが一堂に会した第6週は、1日目に三菱電機を撃破。第2クォーターが6失点、第3クォーターに至っては3失点と、開幕週に連敗した相手を圧倒しての白星だった。新潟アルビレックスBBラビッツと対戦した翌日も、第2クォーター以降は終始優位に試合を進め、最終的に10点差とはいえ内容としては完勝だった。2試合ともに44失点と、ディフェンスが勝因だったことは疑いようもない。
そのディフェンス面でチームにとって確実にプラスとなっているのが、移籍加入1シーズン目のモハメドファティマトゥ早野夏の存在だ。179センチのサイズで俊敏性を備えるモハメドは、狙いすましたパスカットもさることながら、ボールマンを守れば長い腕を生かしてドリブルカットも積極的に仕掛ける。三菱電機戦は5スティールで相手のチャンスの芽を摘み、新潟戦も2スティール。ここまでの12試合でスティールがゼロだったのは2試合しかなく、Wフューチャーのランキングでたった3人しか規定に到達していない中の1人となっている。
この2試合はチームのディフェンスも機能したとあって、「私たちの課題だったディフェンスが上手くいったところも多かった」と一定の評価はしたものの、新潟戦に関しては54得点止まりだったこともあり、「オフェンスが停滞した時間が長かった」と反省も口にした。個人としても、「大事なところでシュートを決められなかったり、ターンオーバーしてしまったりというのが課題。他の部分もまだまだ足りないかなと自分では思います」とパフォーマンスには満足していない。
しかしながら、チームとして上向きつつある感触も得たのがこの2試合だった。山梨クィーンビーズとのGAME2をオーバータイムで制してからは、この時点で5連勝に達し、1勝6敗という不本意なスタートから一気に勝率5割までもっていくことができた。黒星が続いていた中でも、試合を重ねることでチームとしてのまとまりや共通理解が醸成されてきた結果だとモハメドは認識している。
「開幕から3連敗したときは、チームがチームになってない感じがしてて、個人で打開しようとするところもあったんですけど、初めて勝った試合からだんだんチームになってきて、連勝が始まったのもチームになったからこそだなって思います。まだまだミスも多いんですけど、例えばここが空いてるからパスできるとか、ここはアタックできるとか、そういうところが開幕の頃よりはチーム全体でできるようになってきてると思います」
モハメドは昨シーズンまでENEOSでプレーしていた。プレーの面に関しては、ENEOSで学んできたことをまだ発揮できていないという感覚があるが、ENEOSで得た経験をチームに落とし込むという部分は、合流当初から常に意識し続けている。5年間の在籍で、強豪チームのエッセンスは熟知。発展途上のチームで、自身が担うべき役割は十分に心得ている。