互いに決めた3連続3ポイントシュート
関東大学オータムリーグは10月27日の試合を終えた時点で、得点王争いは野溝利一(山梨学院大学 #90)が403点(平均20.2点)で首位に立つ。2位につける山本愛哉(神奈川大学 #3)は375点(平均18.8点)。この2人の共通点は野溝が164cm、山本も163cmといずれも160cm台。バスケにおいてけっして大きいとは言えない2人が、得点で全国屈指のリーグを引っ張っている。10月26日、両者による直接対決。得点王トップに立つ野溝が、挨拶代わりの3連続3ポイントシュートを沈めてゲームがはじまった。
「得点にこだわるのではなく、アシストをしたり、チームが苦しければ自分が得点を取りに行ったり、チームを支える立場でプレーするだけです」と野溝は自身のスタッツには関心がない。1勝しかできていない山梨学院大学にとって、何よりも欲しているのは勝利である。今シーズン開幕当初は #98 スヴェトリシック イゴールがケガで出遅れ、ルーキーの #14 菅野陸はFIBA U18アジアカップのためにチームを離れて選手が揃わない日が続いた。イゴールが復帰し、「自分たちのやりたいバスケに近づいてきていると感じています。でも、勝ちに結びついていないために、チームとして負け慣れてしまっているのが課題です」ともどかしい試合が続く。その鬱憤を晴らすような神奈川大学戦の立ち上がりだった。
対する神奈川大学の山本は、先発とシックスマンの両方で起用され、この日はベンチスタート。「後から入る方が良い」という山本は、劣勢となる第2クォーターに出番がやって来た。ウォームアップでのシューティングはあまり決まっておらず、「試合中はどうなるかなと思ったんですけど」という心配は杞憂に終わる。1本決まれば、「次もボールをもらったら積極的に打とうという意識は常に持っています」と強気でゴールを狙い続ける。野溝と同じく3連続3ポイントシュートを決めた。3本目はファウルをもらう4点プレーを成功させ、40-35と神奈川大学が逆転。第2クォーターだけで14点を挙げた山本が勢いづけ、84-69の勝利に貢献した。
得点王争いは23点の山本に対し、25点で上回った野溝に軍配が上がる。170cm台の選手とマッチアップしても10cmの差が生じる2人だが、ほぼ同じサイズのマッチアップはプレーしやすかったのか、と疑問を投げた。
「身長が高い相手とマッチアップするから得点が獲れないというのは、あまり気にしていないです。自分でズレを作ったり、空いていたら打ったり、もうそれだけです」と山本は答える。208cmの #70 カマレムレマ フランシスが長い手を伸ばしてブロックショットに飛んで来ても、冷静に後ろへ一歩引いてスペースを作って3ポイントシュートを決めた。「あのようなプレーが好きですね」と身長差が関係ないことをコート上で示す印象的なプレーだった。