代々木第二体育館で行われたしながわシティバスケットボールクラブとの第2戦、金沢武士団のスターターとしてコートに立ったのは、アジア特別枠のパク セジンと日本人選手4人だった。前日17得点を挙げたイホール・ボヤルキムと14得点のクリストファー・オリビエが脚の違和感を訴え、ベンチ登録を外れたのだ。帯同していないドゥドゥ・ゲイも含め、3人の外国籍選手が全員不在という状況で試合をしなければならなくなったのは、逆風にさらされてきた金沢に追い打ちをかけるかのような事態だ。
昨シーズンまでは金沢とともに、いわゆるドアマットチームだったしながわシティも、今シーズンは急成長を遂げているとあって、試合は一方的な展開となった。開始3分、4-13となったところで金沢はタイムアウトを取るが、その後も流れは変わらず、第1クォーターの10分間で9-39と実に30点もの大差がついてしまう。その差を挽回することは最後までできず、最終スコアは64-99。震災からの復興を祈念して開催されたチャリティーマッチは連敗という結果に終わった。
ただ、第2クォーターは26得点を挙げ、この10分間に限れば相手を3点上回った。相手の攻勢を受けてトランジションを出せず、「攻撃回数を多くしよう」という三木力雄ヘッドコーチのゲームプランが崩れてしまった中、控えガードの田中志門がスピーディーな展開に持ち込んだ。「針のむしろどころの話じゃないですね」と試合を振り返った三木HCも、チームがファイトバックしたことは評価した。
「スピリットだけは忘れないように、勝ち負けよりもとにかくチャレンジしていくしかない。ミスはやめよう、シュートまで行こうという話をして、前半はターンオーバーが少なかったし、第2クォーターは勝てた。ディフェンスのインテンシティーも高くなったし、ファウルを恐れずにいくということはしっかり遂行してくれたので、結果は結果として、プロセスに関してはよく頑張ったと思います。パクも彼なりに一生懸命やって(10得点7リバウンド)、今日の試合で成長したんじゃないかと思います。外国籍選手に頼らず、自分がやらなきゃいかんというのがあったと思うんでね」
この2試合、ミーティングで三木HCがいの一番にホワイトボードに書いたのは「Thanks」というワードだったという。「代々木でできる、まして開催費用もリーグに出していただいている。その環境を作ってくれたことに感謝しよう」ということだ。震災からリーグ戦に戻って来たことで「誰かのためにバスケットボールをするという気持ちになったのは初めて」という金久保翔も、感謝の意をプレーで表現しようと意気込んでいた。
「僕らがバスケットボールができてるのも当たり前ではないので、本当に感謝してます。厳しい状況は続いてるんですが、どんなメンバーだろうが、どんな相手だろうが自分たちにできることを120%やろう、自分たちがコントロールできることに集中しようという話をして試合に臨みました」