レギュラーシーズン7位でプレーオフに進出した日立ハイテククーガーズは、3月30日のセミクォーターファイナルでトヨタ紡織と対戦。昨シーズンは富士通を相手にオーバータイムに及ぶ熱戦を演じただけに、今シーズンはクォーターファイナルへ勝ち上がることも期待されたが、54-82と思わぬ大差をつけられて敗れ去った。
第1クォーターでわずか8得点しか奪えなかったことが最大の敗因。移籍2シーズン目の中野由希も立ち上がりを悔やみ、唇をかむ。
「出だしで相手のリズムになって、自分たちに勢いを持ってこれなかった。シュートは打ててたんですけど、それを決めきれなくて、逆に相手のシュートは入るという展開で、なかなか点差を縮めることができず、こういう結果になったのは悔しいです」
中野自身もこの日はフリースローによる2得点止まり。チームに貢献したい想いを強くもちながらも、自身の得意なプレーを出せないまま終わってしまい、責任を果たせなかったことで悔しさはさらに募る。
「自分に求められてるのはカッティングと3ポイントなので、そこを頭に入れつつ試合に入りました。1本、ブレイクのときに打った3ポイントを決められたら流れも変わったと思うんですけど、それを決めきれなかったのは自分の力不足です。
レギュラーシーズンで紡織と当たったときは1勝1敗で、自分は得点できなくてチームに貢献できなかったので、その想いもあってプレーオフでは自分がチームを勝たせるぞという気持ちだったんですけど、得意なカッティングやシュートが決まらなくて、自分たちのリズムに持ってくることができなかったです」
中野が持ち味を発揮できなかった理由としては、相手がトヨタ紡織だったことも挙げられる。一昨シーズンまで在籍した古巣に関しては、自身も相手の選手個々の特徴を知っている一方で、相手も中野の良さを理解しており、そこを上手く封じられてしまったことは否めない。
「お互いがプレーを知ってる中で、向こうも自分のプレーを知ってるし、相手のヘッドコーチは変わったんですけど自分も相手の個人のプレーをわかってる。特にディフェンスで、準備期間も今日の試合前もそれを頭に入れて試合に入ったんですけど、向こうが個人でも一つ上手だったし、自分が相手を苦しめることができなかったのは悔しかったです」
トヨタ紡織から移籍してきたことに関しては、中野にとっては大きな転機だった。182センチのサイズでアウトサイドのプレーを得意とする中野だが、トヨタ紡織ではなかなか出場機会に恵まれず、日立ハイテクに移籍した昨シーズンに才能が開花。得点を筆頭にスタッツを軒並み伸ばした結果、オフには初めて日本代表合宿にも招集された。古巣のトヨタ紡織戦に限らず、どの対戦相手からも警戒される存在になったということは、中野自身も自覚している。
「紡織にいたときはプレータイムがなかったので、昨シーズンは相手にアジャストされてなくて思いきりプレーできた部分もあったんですけど、代表合宿に呼ばれて、今シーズンは周りからも意識されて止めにかかってくるというのをシーズン前から言われてました。相手がアジャストしてくる中でそれに対応できるようにやってきたんですけど、まだまだだなと思うし、そこを打開できるようになっていきたいです」