運営体制が変わり、東京サンレーヴスから名前を変えて再出発した2021-22シーズンが6勝45敗で15クラブ中14位、翌シーズンが9勝43敗で16クラブ中最下位。そのことを考えると、第22節を終えて17勝27敗と既に過去2シーズンの合計勝利数を超え、18クラブ中12位につけている今シーズンのしながわシティバスケットボールクラブの躍進には目を見張るものがある。開幕から2ケタ得点を連発し、第19節には1試合35得点を叩き出した高橋育実の成長や、リーグのブロックショット部門でトップを独走するハイデン・コヴァルの加入など、戦えるチームになってきていることは明らか。3月9・10日に開催された第22節の立川ダイス戦も、プレーオフ圏内の7位を相手にいずれも接戦を勝ちきり、連勝を収めてみせた。
その第2戦、伊藤良太の活躍は特に光った。前半は無得点だったものの、20分フル出場した後半は19得点。ランキング4位のアシストは2個にとどまったが、スティールは5本をマークした。あと1試合出場すれば規定試合数に到達するため、1試合平均2.5個で2位以下を引き離しているスティールの個人タイトル獲得は濃厚な状況だ。2月24日の香川ファイブアローズ戦で31得点、2月3日の東京八王子ビートレインズ戦で14アシスト、1月20日の立川戦ではリーグ記録を更新する10スティール。今シーズンの伊藤の活躍は際立ち、チーム躍進の大きな要因となっている。
伊藤との契約合意がクラブから発表されたのは、ファン・ブースターにとっては衝撃的な出来事だった。岩手ビッグブルズでプレーした2021-22シーズンを最後に、現役を退いていたからだ。1年のブランクを経てコートに戻ってきた伊藤のパフォーマンスは前述した通り。チームへの貢献度の高さについて、その感触を問うと「いや、とんでもない、まだまだ全然なんですけど(笑)」と本人は控えめだが、伊藤はプレーで引っ張るだけでなく、意識の部分からチームを変えようとしている。
「練習のときから下を向かずに、チームのためにやれることをやっていこうと、佐野(智郎)ヘッドコーチを中心に取り組んできた結果かなと思います。個々でずば抜けた選手がいるチームではないと思いますが、チームで戦うという意識はB3の中でもトップクラスになってきてると思うので、昨日今日と立川さんに勝てたのもチーム力、総合力というところでまされたということかなと思います。
這い上がらせたいという想いで復帰させていただいて、それは練習から一貫して意識してます。本当にちょっとした気持ちの違いだと思うので、全員が自信を持つことや、プロでやっていく闘争心をチームに根づかせたいと思っていました。『自分たちは最下位だから』ではなく『絶対にやってやるぞ』というメンタリティーに少しずつ変わってきてるかなと思います。バスケットの質もまだまだ上げなきゃいけないんですが、闘う集団ということをかなり意識して、そもそもの気持ちのスタンダードを上げたいと思ってます」