競争力の上がっているB3リーグは昨シーズンからプレーオフが導入され、プレーオフホーム開催権がかかる順位争いもさることながら、プレーオフ進出を目指すボーダーライン上の争いという楽しみも生まれている。第20節を終えた時点では、7位の東京ユナイテッドバスケットボールクラブが21勝17敗で、立川ダイスがゲーム差なしの8位。プレーオフ圏外の9位以下は立川と3ゲーム差がついているとはいえ、勢いに乗ったチームが現れれば十分にひっくり返せる。
シーズン終盤に差しかかった今、最も勢いを感じさせるのはクラブ創設2シーズン目の湘南ユナイテッドBCだ。開幕6連敗から始まり、その後も思うように星は伸びなかったものの、1月に6連勝を記録して一気に “借金” を減らし、勝率5割に近づくとともに、順位も9位まで上げてきた。
2月24日にアウェーで臨んだアースフレンズ東京Zとの第1戦は、第1クォーターに24-6と圧倒し、前半は16点リード。後半は一転して劣勢に回り、残り1分を切ったところで2点差まで詰め寄られたが、板橋真平と髙木慎哉がファウルゲームで得たフリースローを落ち着いて決め、最後はスティールした板橋からパスを受けたローカス・ガスティスがとどめのレイアップを沈めて79-71と逃げきった。
「前半は自分たちの思うようなバスケット展開がパーフェクトに近い状態でできて、相手のホームの雰囲気にも負けずにできた」と振り返るのは、ここまで全試合に出場し、スターターを外れたのも2試合しかない正司令塔の板橋。試合前の時点で3ポイント成功率が37.0%、フリースロー成功率が92.3%、1試合平均15.3得点とオフェンスの中軸を担っていた板橋は、この日も15得点と活躍。3ポイントは8本中2本成功にとどまったが、板橋自身が「自分は平均15点くらい取ってて、相手も結構抑えにくるので、その分周りの選手が空きやすくなるということは今日意識してプレーしました」と振り返ったように、アシストが前半だけで9本、トータル12本に及ぶなど、コントローラーの役割を全うした。何より素晴らしかったのは、33分0秒という長い出場時間にもかかわらず、ターンオーバーが1つもなかったこと。板橋も「そこは自分自身評価しても良いところかなと思います」と胸を張る。
クラブ創設時からチームを率いる堀田剛司ヘッドコーチは、一昨シーズン後半に指揮を執ったバンビシャス奈良でも、板橋とはHCと選手の関係だった。それだけに、板橋の選手としての特徴をよく理解し、今の湘南にとってプラスになっていることを実感している。
「奈良でも一緒だったので信頼関係もありますし、私が指示したことを遂行してくれます。彼の良さはシュート力と、体も強いので突進力があるところで、今はそれが生きてると思います。シュートが上手いから、奈良のときは2番ポジションで出ることも多かったんですが、本人の希望としてポイントガードをやりたいというのがあってこのチームに来て、その仕事をしっかりやってくれてますね。あとは、奈良のブースターさんとか、出身の白鷗大学の関係で板橋目当てで試合を見に来てくれる人が多くなってきてて、そういう意味でも良い方向に進んでるなと思います」