恵まれた体躯を持つ仲間が多くいるからこそプレーの幅を広げられる環境
FIBAワールドカップでの井上宗一郎(越谷アルファーズ / 筑波大学出身)は5試合中2試合しか出番はなく、コートに立った時間もそれぞれ2分程度だった。しかし、そのアジア予選となったWindowでは平均18.7分間のプレータイムを与えられ、8試合に出場。今の日本代表に欠かせない3ポイントシュート総数34本を放ち、13本を成功(38.2%)させ、トム・ホーバスヘッドコーチの信頼を勝ち取った。試投数は富樫勇樹(千葉ジェッツ)の51本、須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)の39本に次ぐ多さ。成功本数はピュアシューターの須田と肩を並べている。
井上が本格的に3ポイントシュートを打ちはじめたのは、筑波大学で2年目を迎えた頃。その年、日本一を決めるインカレでは毎試合1本ペースで放ち、6試合で4本成功させた。井上だけではなく、2m近い恵まれた体躯を持つ仲間が多くいたからこそ、インサイドに固執することなくプレーの幅を広げられた。福岡大学附属大濠高校時代からその背中を見てきたのが、木林優である。2つ年上の井上と筑波大学でも一緒にプレーしていたときは、「僕がミスマッチになることが多いので、自分が中に入って宗一郎さんが外から打つ場面は結構ありました」と話すとおり、井上が4年次のインカレでは1試合平均試投数を4本に伸ばし、筑波大学でシューターメンタリティーを養ってきた。
日本代表となった井上先輩を見て、「同じポジションに渡邊雄太選手がいるので、なかなか出場機会がなかったですが、僕からすれば日本代表に選ばれただけですごいことです。3ポイントシュートを武器にして選ばれたと思いますし、自分がもし日本代表を目指すならば、そこをもっと磨かなければなれないと思いました。すごくリスペクトしていますし、見習わなければいけないです」と頼もしい先輩の姿を現在進行形で追いかけ続けている。日本代表と同じ5OUTシステムを採用する筑波大学であり、木林はワールドカップの戦いから何を学んだのだろうか?
「ディフェンスの強度が、特に日本の良い時間帯はすごく高いな、と思いました。あとは毎試合、流れを持ってくる選手と言いますか、流れを作るスター選手みたいなのが必ず1人出て来ました。3ポイントが良く入ったりし、そういう部分が今の筑波にはなかなかいないし、流れに乗り切れない部分です。やっぱり誰かが率先して良いプレーをして、ベンチも出ている5人も一緒に盛り上がって、良い流れを作っていかなければいけないと感じました」
木林自身も今夏はユニバーシティゲームスで世界を体感し、アメリカ戦では15点を挙げる活躍を見せ、今後が楽しみである。