華麗なダンスで会場を沸かせるチアリーダーと並び、マスコットはBリーグにとって今や欠かせない存在となっている。いつもすごいなと感じるのは、会場で見かけるマスコットたちが虚像ではなく、我々と同じ喜怒哀楽を持つチームの一員に思えることだ。キュートで個性豊かな彼ら、彼女らはそろって働き者だから、その中の1人を “推しのマスコット” とするファンはきっと少なくないだろう。
ファン投票で決まる “マスコット オブ ザ イヤー” がスタートしたのは2018年。初代キングに輝いたジャンボくん(千葉ジェッツ)は続く2019年、2020年も王座を明け渡すことなく、栄えある3連覇とともにマスコット界の殿堂入りを果たした。その後、2021年は宇都宮ブレックスのブレッキーが受賞し、2022年、2023年は川崎ブレイブサンダースのロウルが2連覇達成。いずれもBリーグの歴史にしっかり名を刻んだことになる。
ならばBBS AWARDでもマスコットを取り上げてみたらどうだろうという話になり、臨機応変を武器とするBBS AWARDは直ちに『マスコット功労賞』を設置することにした。
あらかじめ断っておくと、この賞は今シーズンに限るものではなく、Bリーグ開幕以来すばらしいパフォーマンスを披露し、Bリーグの発展に貢献してくれたマスコットに贈るものである。協議の結果選出されたのはサンロッカーズ渋谷のやんちゃな白くまサンディー(♂/背番号36/年齢不詳/B型/趣味エゴサーチ)だ。
サンディーがバスケット界に登場したのはJBLが発足した2007年のこと。SR渋谷の前身である日立サンロッカーズはマスコットを制作するにあたり自社エアコンの人気ブランド『白くまくん』をモデルにしたという。なるほど、イメージした『元気でいたずら好きな男の子』はまさにサンディーそのものだ。
それから16年。ずっとサンロッカーズを盛り上げてきたサンディーは現Bリーグマスコット界で1番の長老?古株?超ベテラン?ということになる。しかし、このベテラン選手は一切トシをとらない。それどころかホームで見せるやんちゃ度は年々アップしているようだ。軽やかにステップを踏みキレッキレのダンスを披露したかと思えば特製キックボードや自転車を自在に操りスイスイ場内を走りまわる。アップ中の選手にちょっかいをかけたり、隙を見つけて作戦ボードに得意の似顔絵を描いたり、空いてる客席があれば勝手に座りこんだり…と、まあ実に自由奔放。流行を取り入れたコスプレもお手のもので、 “アナと雪の女王” のエルサ、 “スラムダンク” の桜木花道、必要とあれば和服を身にまとい、鼻の穴を広げ、演歌の大御所(北島三郎)にまでなってしまうのだからびっくりだ。
コミュニケーション能力にも長け、会場内ではもちろんのこと、自身のアカウントを持つインスタグラム(フォロワー数1.5万人)では、ゲームやイベントの情報(そこで活躍する可愛い自分の姿)を次々に発信。コートの内外における精力的な活動は地元渋谷のPRとなり、地域振興に貢献したと評され、2019年には渋谷区長から直々『特別渋谷区民』の認定証までいただいてしまった。いやぁ、さすがサンディー先輩、まさにマスコットの鑑!BBSは見事なマスコット道を貫くサンディーを称えるとともに今後も愛すべき全てのマスコットの代表としてBリーグを盛り上げていってくれることを期待し、ここに謹んで『マスコット功労賞』を授与致します。でもね、こんな賞もらっちゃっても変わることなく、いつまでもマスコット界のやんちゃ坊主でいてねー!
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE
「Basketball Spirits AWARD(BBS AWARD)」は、対象シーズンのバスケットボールシーンを振り返り、バスケットボールスピリッツ編集部とライター陣がまったくの私見と独断、その場のノリと勢いで選出し、表彰しています。選出に当たっては「受賞者が他部門と被らない」ことがルール。できるだけたくさんの選手を表彰してあげたいからなのですが、まあガチガチの賞ではないので肩の力を抜いて「今年、この選手は輝いてたよね」くらいの気持ちで見守ってください。
※選手・関係者の所属は2022-23シーズンに準ずる。