がけっぷちの富山に対し、横浜BCは初のCSへ向けた負けられない予行練習も…
レギュラーシーズン最終節。残留争いに後がない富山グラウジーズの気持ちに気圧されるように、ホームの横浜ビー・コルセアーズが劣勢を強いられた。「遂行力が今シーズンの中でもすごく高かった」と高岡大輔ヘッドコーチ代行は評価し、集中してゲームに入った富山。対する横浜BCの青木勇人ヘッドコーチは、「ポストのところでイニシアチブを取られたことが勝敗を分けた」と言うとおり、ペイントエリア内の得点は50-36と圧倒されてしまう。29点を挙げたジョシュア・スミスだけではなく、小野龍猛もインサイドを突いて13点と活躍。「横浜戦はミスマッチが生まれやすい。小野が起点となり、相手のディフェンスを崩すきっかけになればチームとしてうまくまわることが多い」と高岡ヘッドコーチ代行の戦略どおりにゲームが進む。負けられない富山が95-89で初戦に勝ち、アウェーに駆け付けた多くのブースターとともにひとまず安堵することができた。
新潟アルビレックスBBが敗れ、降格が決定。勝率で並ぶ滋賀レイクスは、京都ハンナリーズとの延長戦を制し、こちらも踏み止まった。高岡ヘッドコーチ代行は、最終戦へ向けてふたたび集中する。
「勝ちをつかむことだけ。ブースターの皆さんも一緒に戦っていただいて、その気持ちを僕らに乗せて欲しい。一緒に勝ちをつかみとって、結果はそのあとについてくるもの。とにかく勝ちに集中し、富山一丸で臨みたい」
敗れた横浜BCは、チャンピオンシップ出場を決めたあとは黒星が先行し、4連敗。須藤昂矢も「とにかく勝つしかない。たくさんの方が来てくれると思うので、とにかく勝ち切ってチャンピオンシップにつなげられる試合にしたいです」と気を引き締め直す。
チャンピオンシップをはじめて経験する選手も多い若い横浜BCにとって、がけっぷちに立たされた富山戦だからこそ、今後を想定した試合にできる。試合後のロッカールームで話していた内容を、河村勇輝が明かしてくれた。
「富山がこの試合で負ければB2へ降格してしまうかもしれない気持ちと、自分たちがチャンピオンシップに出たときに負ければ終わってしまう状況は、程度は違うかもしれないが、近しいところはあると思います。だからこそ、気持ちの部分で負けることが一番ダメだという話をしていました。シミュレーションとして考えれば、明日は僕らにとっても大事な試合になります」
中地区2位の横浜BCにとっては、これがホーム最終戦になるかもしれない。だからこそ負けられず、チャンピオンシップへ向けて弾みをつけたかった。しかし、初戦でファウルを受けたときに負傷したチャールズ・ジャクソンを欠いた横浜BCは81-84で敗れ、5連敗でレギュラーシーズを終えた。勝利した富山は、無事にB1残留を決め、ブースターとともに喜びを分かち合った。
52試合に出場し、平均8.5本を挙げた河村がアシスト王に輝いた。
「アシストは得点とは違って仲間とともに作り上げていくものです。自分一人の結果ではなく、チームメイトがしっかりと点を決めてくれたからこその結果です。いろんな方々に感謝したいです」