前編(京都招待初日)より続く
京都滞在の2日目は雨も上がり、絶好の観光日和。しかし私は宿泊先から電車を乗り継ぎ、西京極総合運動公園内にある京都市体育館へ。公園にはいかにも「バスケ、見に来ています」といった、バスケブランドを着込んだ人が、まばらではあるが、いる。コロナ禍もやっと落ち着いてきたんだなぁ。
「第58回 全国高等学校 交歓バスケットボール京都大会(以下、京都招待)」は2日目にして、最終日。体育館では第1試合のチームがウォーミングアップをしている。こちらも準備をして、いざ、2日目スタート。
と言いながら、先に結果を書いておこう。
優勝は全勝の開志国際(新潟)。優勝決定戦こそ、連戦の疲れからか、前の試合で足を少し痛めた平良宗龍に大事を取らせたが、それでも近畿ブロックの新人戦を制した東山(京都)を83-78で退けた。終盤はともに控え選手を出すゲームとなり、最後まで “ガチンコ” での争いにはならなかったが、やはり春の時点での開志国際は強かった。
2位は東山、3位は北陸学院(石川)、4位は京都精華学園(京都)。以下、中部大学第一(愛知)、正智深谷(埼玉)、出雲北陵(島根)、九州学院(熊本)と続くのだが、ここまでに入っていておかしくない高校が、いない ── 東海大学付属諏訪(長野)と洛南(京都)である。
東海大学付属諏訪、新しい船出へ
石口直、中川知定真、高山鈴琉……実力のある選手たちが卒業し、またチームを18年間率いてきた入野貴幸・前コーチも新しいキャリアへと踏み出し、新しい東海大学付属諏訪が動き出している。チームを率いるのは、同校の卒業生であり、その後、Wリーグの富士通レッドウェーブや社会人の秋田銀行などを率いた小滝道仁コーチ。彼にどんなバスケットをしようとしているのか聞いてみると、こう返ってきた。
「オフェンスに関してはボールシェアです。富士通時代にお世話になったBTテーブスヘッドコーチや、男子日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチのバスケットをイメージしています。個々がボールを持ちすぎずに、判断を速くして、一つのチャンスを作っていく。だからこそ、オフボールの動きはすごく大事にしたいですね」
バスケットを通じて判断力を養うことは、彼ら(高校生)が今後、大学や社会へと踏み出していくうえでも重要になると、小滝コーチは考えている。旧知の仲ではあるが、彼もすっかり教師である。
上記のコメントは、ともすれば「おっ、諏訪がオフェンシブなチームに変わるのか?」と思われてしまうかもしれない。そうではない。「僕がディフェンスを嫌いなわけがないじゃないですか」と笑って、小滝コーチ言う。
「それこそ富士通でヘッドコーチをしていた時期にコンパクトに守るとか、プレッシャーかけるとか、そうしたディフェンスを作り上げていました。それを秋田銀行でさらに整理してきたので、そうした自分のなかに持っているもディフェンスを高校生でどう表現していくか。もちろん時間の問題もあるし、人数の問題もあるし、いろんな問題が出てくるとは思いますが、どんな変化をしていくのかも、自分で自分を試してみたいと思っています」
むろん今の選手たちを実験台にしようというのではない。
「今年は寺坂優羽、板倉伶弥、本田一心、渡邊大翔あたりが中心になってくると思います。綱島佑太朗も伸びてきていますし、エンライト ウィリアム聖滋や大脇颯介もいい。新1年生でも有望な子はいます。昨年ほどのタレント性はないけど、起用できそうな選手がたくさんいるので、これからしっかり作っていきますよ」
相変わらずバスケットに対して熱い。それがまた彼を生き生きとさせている。
さて、新生・東海大学付属諏訪がどんなチームになるのか。ヘッドコーチの変化とともに楽しみにしたい。