挑戦2シーズン目は3月19日をもって幕を閉じた。目標としていたプレーオフ進出は叶わず、レギュラーシーズン最終戦のこの日が今シーズンの最後の試合。ホームの大田区総合体育館に駆けつけた1822人のファンの前で、マイクを握った萩原美樹子ヘッドコーチは “オーさん節” を交えてこう語った。
「ホームゲームはもちろんなんですけど、アウェーのゲームでもベンチのそばの席には必ずヴィッキーズのユニフォームを着た方が座ってくださっていて、まるでホームゲームのように応援してくださって、私たちは本当にファンの方々に支えられたなと改めて思います。皆さんにはやきもきさせる場面のほうが多かったと思うんですけれども、それでもこうして足を運んでいただいて、皆さんなかなか物好きだなって(笑)、勝てないのにどうしてこれだけ応援してくださるのかなって、本当にありがたいです」
今シーズンの東京羽田ヴィッキーズの最終成績は7勝19敗。リーグ全体で11位と、昨シーズンよりも順位を2つ下げる結果となった。最終週のアイシン戦も、第1戦は黒星。しかし、ファンに勝利を届けたい想いをさらに強くした選手たちは、第2戦は序盤から試合への集中力を発揮。前半にリードを奪っても気を緩めることなく戦いきり、後半は相手のプレスディフェンスに苦しむ場面もありながら、その都度持ち直し、最終的には71-61で勝利。萩原HCも、この日の戦いぶりには概ね良い評価を下した。
「今シーズンは前半リードしても後半にひっくり返されることがあったので、今日のように悪い流れになっても自分たちで断ち切ることができたのは良かったです。見せ場がたくさんあったというか、どうしてそうなるのっていうのもあったんですけど(笑)、最後は本当によく戦ってくれたなと思います」
プレーオフまであと一歩という成績を残した昨シーズンを経て、今シーズンは東京羽田の飛躍を期待していたファンも多かったに違いない。しかしながら、ロスターがサイズダウンしたことを受け、萩原HCは戦略の大幅な変更を決断。新たに5アウトオフェンスを導入したが、これを消化するのに時間を要してしまった。その点は萩原HCも「ジレンマがあった」と述懐。心中には痛恨の念も残る。
「練習のさせ方にはすごく責任を感じています。最後は運動量が落ちて2試合もたなかったりもして、そこは来シーズン見直さないといけない部分です。人数が少ないからケガが怖くて、攻めた練習をしきれなかったというのが一番悔いが残るところですね。そういう意味では、こうやったらいいんだな、これをやったらいかんのだなというのはシーズンを通して勉強させてもらいました。すごく痛い授業料を払いましたけど(笑)」
萩原HCには誤算もあった。「アクシデントはどのチームにもある」と萩原HC自身も言うように、故障はスポーツにはつきまとうものだとわかっていても、離脱者が出てしまったことはやはり痛かった。シーズン前半、試合を重ねるごとに鷹のはし公歌への警戒が強まっていく中で、萩原HCは事あるごとに「あの子がいてくれたら……」と津村ゆり子の不在を嘆いていた。