仲間のアクシデントにギアを上げ、31点を挙げた安藤周人
1月8日の川崎ブレイブサンダース戦で9,555人を集客し、ホーム開幕節で自らが記録したBリーグにおけるクラブ主管ホームゲーム最多入場者数を塗り替えたアルバルク東京。連戦となるレバンガ北海道を迎えた水曜ナイトゲーム。一見すると空席が目立つが、それでも4千人を超えた。これまでのアリーナでは溢れるほどの集客である。ゲームの方も106-88で勝利し、ホーム12連勝でファンの声援にしっかりと結果で応えている。
試合には勝ったが、アクシデントに見舞われたA東京。開始5分、ジャスティン・コブスが倒れて大声を上げる。足を抱えたまま立ち上がることができず、そのままタンカで運ばれて行った。現時点で詳細は発表されていないが、軽傷であることを祈るのみである。
「点数を獲る人が限られる状況だったのでより気合いを入れ直して、チームを勝たせるために点数を獲りにいく姿勢を見せられたと思います」とギアを上げた安藤周人は、9本の3ポイントシュートを沈めて31点を挙げ、チームのピンチを救ってくれた。
オフェンスの起点として最多の平均14.3点、4.3アシストをマークするコブスの離脱は大きく、「途中で戦い方を変えるのは思っている以上に大変な作業である」とデイニアス・アドマイティスヘッドコーチにとっても一筋縄ではいかなかった。すでに田中大貴と笹倉怜寿が戦線離脱しており、A東京のガード陣は苦しい状況でもある。藤永佳昭と岡本飛竜を交互に送り出し、「良い反応をしてくれた」と指揮官は及第点を与えた。今後も、彼らがチームを引っ張って行かなければならない。
「ボールプレッシャーをかけ続けられる選手たちであり、チームにエネルギーを与えてくれる」とアドマイティスヘッドコーチは評価する。身長もプレースタイルもコブスとは異なる彼らだが、「オフェンス面ではチームとしてのプランを遂行させられるようにするのがポイントガードの仕事でもある。状況を把握しながら、チーム全体のオフェンスを統括してもらいたい」と期待を寄せ、短期間で修正しながらアウェーゲームからはじまる後半戦へ向かって行く。
葛藤を乗り越えてつかんだリーグ最少失点数を誇るディフェンス力
全体的にオフェンスが向上し、得点が上がっている今シーズンのBリーグにおいて、平均70.5点(※1月12日現在)の最少失点を誇るA東京。これまでもルカ・パヴィチェヴィッチ元ヘッドコーチがディフェンス重視でチームを作り、2度のリーグ制覇を成し遂げた。そのベースがあるからこそ少ない失点数が保たれているかと言えば、そう単純な話ではない。コーチが交代すれば、プレースタイルも大きく変わる。「選手たちが新たなスタイルに対応するために、正直すごく苦労していた」とアドマイティスヘッドコーチは感じていた。安藤は「ディフェンスのルールも全く別のものになり、最初は全員が戸惑いましたし、全然うまくいきませんでした」という時期があった。オフシーズン中、吉井裕鷹とセバスチャン・サイズが代表活動のためにチームを離れている期間が長く、連携がうまく取れずに開幕当初は3勝3敗と足踏み状態が続いた。