Wリーグが開幕し、第2週を終えた時点では富士通とデンソー、トヨタ紡織の3チームが4戦全勝。ENEOSは富士通に連敗して1勝3敗とまさかの黒星先行となり、トヨタ自動車もそのENEOSに1勝を献上した。また、クラブ型チームは5チームのうち4チームが開幕週に直接対決し、2カードとも両者1勝1敗と譲らなかった。2022-23シーズンはどの順位争いも見どころになりそうな予感を漂わせるが、その中で唯一4戦白星なしと出遅れてしまったのが東京羽田ヴィッキーズだ。
開幕週は昨シーズン準優勝の富士通、第2週は大型補強を施したシャンソン化粧品が相手とあって、その結果が全くの想定外とは言いきれない。ただ、昨シーズン後半の10試合を5勝5敗のイーブンで終えただけにファンの期待は大きく、開幕戦で富士通を相手に前半に15点ものリードを奪ったことも考えると、その後の3試合で大差をつけられてしまったのは意外だった。
第3週、11月5日のトヨタ紡織戦も56-80と24点差がつき、これで開幕5連敗。厳しい結果と言わざるを得ないが、その中でも3ポイント7本を含む23得点でトヨタ紡織を最も苦しめたのが鷹のはし公歌だ。5シーズン目を迎え、今シーズンは奥田花からキャプテンの座を引き継いだ。萩原美樹子ヘッドコーチは「すごく頼りになります。今のところ、しっかり計算できるのが鷹のはし。チームを引っ張る自覚も見えますし、彼女を信頼して、鷹のはしで作るプレーも多いです」と賛辞を贈る。
鷹のはし自身も「今シーズンはキャプテンもやっていますし、チームを引っ張らないといけない立場。あまりリーダーシップはないんですけど、コートの上では自分のプレーをすることでチームがそれに乗っかってくれると思っているので、自分のプレーを思いきりしようというのはシーズン前から決めていました」と、自身の背中を見せる意識が生まれてきているようだが、萩原HCによればプレーそのもの以外でもチームを引っ張る責任感の芽生えが感じられるということだ。
「このチームはみんな仲は良いんですけど、仲間意識が強いだけで終わっちゃうところもあるんですよね。でも、鷹のはしは練習中のチームメートに対する声のかけ方がちょっと変わってきましたね。『もっと厳しくやろうよ』というような言葉がだんだん多くなってきたなと思います」
そして、萩原HCは「代表を外れたのが悔しかったんじゃないかな、たぶん。その話はしてないですけど、もしかしたらまた選ばれたいという気持ちが強いのかなと思います」と続けた。昨シーズン終了後、鷹のはしは初めて日本代表候補に名を連ね、親善試合にも出場したが、十分な出場時間を与えられたとは言い難く、ワールドカップを控えた代表候補から早々に離れている。「代表活動では本当に良い経験をさせていただいた」という鷹のはしだが、悔しい気持ちもやはり少なからずあったようだ。
「トップレベルの中に入ったときに何もできなかったのが本当に悔しくて、もっとできると思えたので、チームに帰ってきてからも代表で練習したことや教わったことはやめずに続けようと意識してやってきたつもりです」