B2とB1を隔てる境界線。
そこを跨ぐものには例外なく大きな枷がかけられる。
前年に猛威を振るったチームは急速にその勢力を落とし、リーグの平均、あるいはそれ以下へと強制的に均される。
Bリーグが発足して以来、B1昇格初年度でチャンピオンシップ(CS)へ進出したチームは存在しない。
それどころか勝ち越しを達成することすら叶わない。
かくも大きな格差がB2とB1には存在し、課された枷が経年劣化によって外れるその日まで忍ぶ、ただもう忍ぶことしか昇格組には許されていない。
しかしこの過酷な現実を前にして、チーム史上初めてB1参入を果たしたファイティングイーグルス名古屋のヘッドコーチ、川辺泰三は今シーズンの目標をこのように語る。
「まずは優勝するためにCS出場、っていうのは言い続けたいなと思ってるし、その可能性は絶対にあるって思ってる」
過去の事例を参照すれば、これがどれほどの困難を伴うものであるかは一目瞭然だ。
しかし川辺はそこを目指した。
目指さなければならない理由があった。
── しかし久々に見たら川辺さんこんな体型やったかなと思って。皆さんヘッドコーチになったら貫禄出ますよね。
いやいやいや、この前大野さん(篤史、三遠ネオフェニックスHC)とも話したけど大野さんはどんどんどんどん痩せていって、シュッとして。白髪だけ増えたことをいつも文句言ってたけどね。「これはストレスやこれはストレスや」って言うてました。
── もしかしたら痩せてるのもストレスかもしれないですよね。
あっちはストレスで食べれへん。こっちはストレスで食べてるからね。
── 両極端。やっぱりストレスは多いですか。
いやあ、多いよ。あんま寝られへんしね、言うても。先輩らも睡眠薬飲んでる人無茶苦茶多いからね、周りに。飲まな寝られへん言うて。怖いよね。僕は大丈夫やけどね。
── 寝れてないと試合中の判断力とか鈍っちゃいそうですよね。
でも武井壮さんがTwitterで「眠たくないのは体が寝なくていいって言ってんじゃねーか」ってポジティブに考えてて、僕も「もうええわ、起きてそのまま仕事したれ」っていうときあるよ、やっぱり。いや、でも変なやつしか残られへんもんね。
── いろんな情報をお持ちですよね。指導者同士でも情報交換とか、共有したりとか、そういった情報収集は意識的に行ってらっしゃるんですか。
大野さんとはけっこうお互いのオフェンス、ディフェンスのことは相談し合ったり、練習でどういうふうに指導したり、持っていったり、意識していくんだ、っていうのは教えてもらいました。その辺は先輩に助けてもらってます。僕はまだまだ経験もないし、本当にまだまだのコーチで、選手や周りのアシスタントコーチ陣に助けてもらってるヘッドコーチだから。一番努力したり最善を尽くさないとみんなに追いつけないから、しっかりまず頑張らないと。