併存する両リーグで頂点に立った経験の持ち主がいる。2009-2010シーズンにリンク栃木ブレックスでNBLの前身であるJBLを制し、2011-2012シーズンから地元に誕生した横浜ビー・コルセアーズへ移籍し、2年目の2012-2013シーズンにはbjリーグの頂点に立った。山田謙治選手は、両リーグでの優勝を経験している。
強いチームの条件について伺うと、「反復練習です」と即答した。
「ヘッドコーチに言われていることを即座にできるようにならないといけません。何を求められているか、一人ひとりの役割がハッキリできれば、自ずと良いチームになると思います。そこが曖昧だったり、一人でも違う方向を向いていれば優勝はできません。リンク栃木の時も、横浜で優勝した時も一人ひとりが役割をしっかり発揮し、コーチに求められていることをコートで表現できたからチャンピオンになれたと思っています。メンバーを見れば、他のチームの方がタレントは揃っていましたが、その中でも勝てたというのはチーム力であり、そこが大事だと僕はすごく思っています」
スモールラインナップながら運動量で勝り、連敗ストップ
インタビューを行ったのは、ライジング福岡に83ー77で勝利した11月15日。連敗を7でストップした。
この日の横浜は悲報からのスタートだった。約1ヶ月前の青森ワッツ戦でヒザを負傷したウェイン・マーシャル選手。その後も、ケガを押して出場していたが、痛みが取れずに検査をした結果、左膝の皿が割れていたことが判明。11月15日より交渉者リスト入りとなった。外国籍選手はウォーレン・ナイルズ選手とジャーフロー・ラーカイ選手の2人しかおらず、対する福岡は4人を擁する中で勝利をつかんだ。チームにとっても、“ウェインのために”とモチベーション高く臨んだ試合でもあった。
「そういう部分の意識がこの試合で変わったと感じています。今までは相手にリバウンドを獲られるとそこでやられてしまったと諦めてしまう感じでしたが、今日は獲られても次のディフェンスをがんばることを一人ひとりが意識してできたところもあります。徐々にですが、チームとしては良い方向に向かっていると思っています」
“そういう部分”とは、オフェンスリバウンドを獲られても、続く相手の攻撃をチームディフェンスで凌ぎ、さらに高確率でシュートを決めることができた。集中したプレイをすれば、外国籍選手が少なくても活路を見出せるのではないか、という質問についての答えである。
高さで劣る分、福岡にリバウンドは獲られていた(横浜37本:福岡45本…オフェンスリバウンド17本)。それでも、ゾーンとマンツーを併用したディフェンスからプレッシャーをかけて失点を凌ぎ、外国籍選手が少ない状況でも粘り勝つことができた。
「スモールラインナップな分、運動量多く動けますので、そこでアジャストしながら戦っていくしかありません。その中でうまく相手を混乱させられれば、良くなると思います」
毎シーズン、何かしらの問題を抱えてスタートしている
横浜は優勝したにも関わらず、そのシーズン途中から経営難が表面化し、チームとしては厳しい状況が続いている。今シーズンもなかなか選手が揃わず、心配もしていた。「僕らは毎シーズン、何かしらの問題を抱えてスタートしている」と山田選手もそこは割り切っているようだ。しかし、ここに来てマーシャル選手の離脱は痛い。
「ウェインがいなくなるのはチームとしては大きな痛手です。1ヶ月間もケガをしながらチームのためにプレイしてくれたウェインのためにも、今日は勝たなければいけませんでした。ウェインに不安を持たせてはいけないという思いの中、一人ひとりが本当にステップアップしてくれています。今日の試合であれば久山(智志選手)や(堀川)竜一さんなど、それぞれの役割が明確に分かってきているので、コート上でもしっかり表現できています。その点は一つの成長しているところだと思います」