コロナ禍によって延期され、今年3月に行われた関東大学バスケットボール新人戦は、大東文化大学が初優勝を飾った。あれから3ヶ月 ── 新入生を迎えた2022年度の新人戦は、従来どおりのスケジュールで開催。前回の決勝戦と同カードとなった大東文化大学vs筑波大学は3位決定戦で相まみえ、結果は同じく大東文化大学が勝利。その2チームを破った日本大学と日本体育大学で決勝が争われた。
延長戦にもつれ込む熱戦を制した日本体育大学が77-71で逆転勝利し、21年ぶり(9回目)にチャンピオンへ返り咲く。上位4チームは7月4日(月)より、国立代々木第二体育館など都内各地で初開催される全日本大学バスケットボール新人戦(プレ大会)へ出場し、1〜2年生チームによる日本一決定戦が行われる。
全国大会出場経験のない月岡煕が求める全国レベルとの対戦
決勝の前半は、激しいディフェンスを見せる日本大学が5連続得点を挙げ、30-21で引き離していく。#51 一戸啓吾(2年)、ケガから復帰した#3 米須玲音(2年/川崎ブレイブサンダース)が3ポイントシュートを決め、さらにペースを上げる。日本体育大学は#21 月岡煕(1年)がブザービーターで一矢報いるも、38-28と日本大学が10点リードして前半を終えた。
決勝まで勝ち上がってきた日本体育大学だが、先発ではムトンボ ジャンピエールが唯一の2年生であり、それ以外は4月に入学してきたばかりの1年生が主体となる。キャプテンであり、チームの司令塔である土家拓大(2年)は大会直前の練習試合でケガを負うアクシデントがあり、出場は見送られた。ベンチ層が薄く、関東1部リーグと対戦した3回戦以降は、先発の5人が30分以上とほぼ出突っ張り状態で戦い続けてきた。
土家に代わり、先発ポイントガードを任された月岡は、「不安もいっぱいありました」というのが本音である。埼玉県の強豪校である昌平出身だが、全国大会出場経験は一度もない。関東No.1を決める新人戦でマッチアップする相手は、高校時代からその名を馳せてきた選手ばかり。日本大学には、2年前のウインターカップで日本一になった仙台大学付属明成高出身の一戸がおり、決勝で敗れるも記憶に残る活躍を見せた東山高校出身の米須が目の前に立ち塞がる。しかしそれは、月岡が求めていた環境でもあった。
「高校から名が知られている全国レベルの選手と対戦したいという目標があって、1部の日体大に進学を決めました。新人戦で米須選手と対決させてもらったのは、本当にうれしいです」
1年生が主体となるチームだが、デメリットばかりではない。「4人いたことで何でも言いやすい部分があり、自分たちなりに試合を通して成長できたと思います」と不安を払拭、自信を持って決勝の舞台に立っていた。スピードを武器にする月岡はビハインドの状態でも臆することなく向かって行き、比例するように輝きも増していく。
試合が進むにつれて、選手層の薄い日本体育大学がガス欠を起こすか、はたまたファウルトラブルに陥る可能性は否めない。実際、月岡とジャンピエールはファウルがかさみはじめていた。第3クォーターを終え、54-42と12点リードする日本大学は、ラストスパートに向けて主力を温存させる。しかし、その隙を突くように、日本体育大学がギアを上げた。前半は日本大学がタフなディフェンスを見せたが、お返しとばかりにゲーム終盤の苦しい時間帯に足を動かし、前に出てきた。