NBL開幕から1ヶ月が経ち、7勝1敗と好調なスタートを切った日立サンロッカーズ東京。
オン・ザ・コート1の1Qと3Qだけを抜き出すと、日立東京は10月12日の千葉ジェッツ戦3Q(14-15)と10月24日に唯一の1敗を喫した東芝ブレイブサンダース神奈川戦の3Q(13-13)以外は、全ての試合で得点が上回っている。とくに1Qでのスタートダッシュは目を見張るものがある。4戦目(10月19日)のリンク栃木ブレックス戦から前節の熊本ヴォルターズ戦(11月2日)まで、1Qだけの得点はいずれも10点差以上をつけている。試合開始直後の爆発力が、今シーズンの日立東京の強さだ。
18勝36敗でイースタンカンファレンス5位となり、昨シーズンはプレイオフを逃した。大鉈を振るった今シーズンはヘッドコーチが代わり、外国籍選手を全て入れ替えた。日本人女性と結婚し、帰化申請中のアイラ・ブラウン選手はオン・ザ・コート1の時間帯にも出場可能である。司令塔には、ベテランの木下 博之選手を獲得したのも大きい。さらに母が日本人であり、日本国籍選手のアキ・チェンバース選手が好調の日立東京を支えている。
bjリーグから移籍したチェンパース選手に王者・東芝神奈川についての印象を聞くと、「昨シーズンの王者というのは知っていたけど、それはもう過去のこと」と一蹴。
その通り。日立東京は昨シーズンとはもう違うチームであり、その日の東芝神奈川戦は71-61で勝利し、コート上で結果を出した。
「僕は上手くなりたい、少しでも成長したいと思って日々プレイしている」と言う。
その言葉通り、まだまだ発展途上であるチェンパース選手は、安定的な活躍ができているわけではない。開幕から10点前後の得点を挙げる活躍を見せていたが、敗れた東芝神奈川戦は2点に終わる。
「昨日はなかなかシュートが入らなかった分、今日はもっとアグレッシブにシュートを打っていこうと心の中で決めていた」
自らのプレイを振り返った翌日は、しっかり修正して13点を挙げた。
昨シーズン、浜松・東三河フェニックスの一員だった時、ポジションに関する質問について、「これまでやってきたSGとしてさらに成長したいですが、PGをやれと言われてもしっかりプレイできるように、今は両方を練習しています」と話していた。チームにはPGとして経験豊富な木下選手もおり、学ぶことは多いように感じる。
「今後、PGとしてプレイするかどうかは分からないが、今、自分に一番必要なことはコートビジョン。自分に足りないものをチームの仲間たちからもアドバイスを受けて、どんどん身につけていきたい」
木下選手だけではなく、ブラウン選手やスタンリー・バレル選手という身長が変わらない同ポジションの仲間たちから刺激を受け、今シーズンをかけて上手くなり、成長していってもらいたい。
その行く末にはチェンバース選手の夢が待っている。
「シーズンが終わった後には日本代表に選ばれるよう、毎日毎日がんばっていくだけです」
泉 誠一