3月16日のレバンガ北海道戦、23歳の赤穂雷太は今シーズン初先発を告げられ、真っ新なコートに立った。天皇杯で全治4週間のケガを負ったジョン・ムーニーの代わりとして、大野篤史ヘッドコーチは起用。先発2戦目の群馬クレインサンダーズ戦を終え、赤穂は自信をのぞかせる。
「オフェンスではムーニーの代わりの4番ポジション、ディフェンスでは3番ポジションの選手をマークすること。オフェンスではいつも通り、考えすぎずにプレーすれば良いとヘッドコーチに言われ、その通りのプレーができたのは良かったです。3番も4番もできるのが自分の強みであり、昨シーズンの経験が活きています」
196cmの赤穂は学生時代からハンドリングなどガードポジションでも通用するように準備し、すでにプロを見据えていた。青山学院大学在学中の4年次から特別指定選手(プロ契約)として千葉ジェッツに加入。チャンピオンとなった昨シーズンを全うした経験が、赤穂の成長を後押しする。
対する群馬はマイケル・パーカー、アキ・チェンバース、トレイ・ジョーンズの元千葉トリオを中心としたオフェンシブなチーム。佐藤卓磨とともに、彼らを封じるディフェンスが求められた。
「最終的にはトレイ選手を一人で抑えられることがベストですが、まだまだそこは課題です。でも、チームディフェンスで抑えることはできたので、そこは良かったです」
前節の横浜ビー・コルセアーズ戦で40点を挙げたジョーンズを初戦は17点、2戦目は16点に抑え、ブロックショットも決めてみせた。初戦はファウルアウトしてしまったが、翌日はしっかり修正して臨み、ファウル1つだけで守り抜いている。
3試合連続で先発起用されている今、「すごいチャンスだと思っています。良いプレーをすれば、プレータイムも増えて行くと思っています。意識し過ぎることなく、自分らしいプレーができるようにしていきたいです」と意欲を見せた。チャンスを与える側の大野ヘッドコーチも、若い世代のステップアップに期待を寄せている。
「チャンスはつかむものである。もちろんその機会を与えるが、それをつかめるかどうかはヘッドコーチの責任ではない。しっかりとつかんで欲しいし、ステップアップのために何か役に立てるならば、どんどんコミュニケーションを取っていきたい」
赤穂とともに、大学を卒業したばかりの大倉颯太と二上耀にも出場機会を与えている。「颯太があまりよくない。まだまだできると思っているが、今は少し気負いすぎているかな。苦しんではいるが、ここでしっかりガマンして、考えることでひとつステップアップできれば、もっともっと良い選手になっていける。耀に関しては、もう思いっきりやれば良い。雷太も卓磨も自分の武器を生かして戦ってくれている。ゲームの中でどんどん経験を積んで、それが彼らの武器になれば良い」という大野ヘッドコーチの叱咤激励こそが、Z世代へ向けた期待の現れでもある。
赤穂にとっても、大倉と二上の存在は大いに刺激を受けている。先輩たちとも積極的にコミュニケーションを取り、「疑問に思ったことがあれば、原(修太)さんやタク(卓磨)さんに質問すれば快くアドバイスしてくれることが、本当に自分の成長につながっています」。千葉の環境で切磋琢磨&試行錯誤を続けながら、2連覇に向かって戦力の厚みが増している。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE