早稲田大学は、3年連続で日本大学とインカレ(第73回全日本大学バスケットボール選手権大会)での対戦となった。4年生にとっては2年次に51-67で敗れたが、3年次の昨年は#7 土家大輝が28点、#15 兪龍海は17点と下級生の活躍もあり、85-79で勝利している。しかし、今年は第2シードの日本大学に67-98で敗れ、2回戦で姿を消した。
#12 コンゴロー デイビッドら強力な日本大学のインサイドを抑えるゲームプランであり、その役割を担うのは196cmの#7 宮本一樹である。シューター陣も厄介な日本大学に対し、「ゲームプランどおりに遂行しても、力の差で上回られることも予想はしていました。気持ちの部分や足を使った運動量の差を追求し、最後までガマンをして40分間戦い続けることができれば、去年みたいな良い流れが来てどこかで捉えられるのではないか ── 」と信じ、体を張り続ける。早稲田大学に流れが傾きそうな時間帯もあったが、「些細なターンオーバーやミスからトランジションで相手に走られ、そこで一気に10点差をつけられてしまったところが敗因になってしまいました」という宮本は、12-23で終わった第2クォーターを悔やんだ。
キャプテンの#8 津田誠人はユニフォームこそ着ていたが、関東大学リーグ戦の開幕戦に負ったケガにより、コートに立つことなく引退することとなった。4年間、苦楽をともにしてきた宮本は、津田の変化をこう感じている。
「あいつはもともとプレーで見せるタイプで、なかなか言葉でチームに波及するタイプではなかったです。でも、ケガをしてからそこが大きく変わり、練習もリーグ戦もあいつのおかげでどんどんチームがまとまっていって、最後は2連勝することができました。あいつは試合以外の面で、僕は試合の面で分担して後輩たちをまとめることができ、今シーズンの終盤にかけてはすごくチームがまとまっていた感覚がみんなの中にもあり、そこは大きな収穫でした」
宮本が入学した年、濱田健太キャプテン(東京海上日動ビッグブルー)や長谷川暢(秋田ノーザンハピネッツ)ら当時の4年生を手本として、早稲田大学のスタイルを突き詰めてきた。
「あのときの先輩方がすごく気持ちが強くて、インカレでは2戦連続ギリギリの競った試合をものにできる4年生たちでした。あの1年間が強烈に頭の中に残っていて、僕が4年生になった時にあのときの先輩たちを超えられるのかというプレッシャーもありました」
先輩たちが築いてきた早稲田大学の伝統を引き継ぐ代となったが、津田と萩原圭とともに最上級生が3人ともケガからのスタートとなる。後輩たちに頼らざるを得ない状況に難しさを感じ、何よりチームのことはもちろんだが、復帰へ向けて自分自身がやるべきことも疎かにはできない。