NEXT MIP賞とは『今季の成長を評価して来季の活躍に期待する』意味を込めて昨年設立された賞である。が、この人選はことのほか難しい。成長を感じ、期待したい選手として挙がる名前が多すぎるからだ。数ある部門の中でも選考にもっとも時間を要したが、議論を重ねたうえで2020-21シーズンは以下5人への授与が決定した。
アルバルク東京の小酒部泰暉は最優秀新人賞を最後まで争った1人。神奈川大学の若きエースとして知る人ぞ知る存在だったが、3年生進級を前に退部して一足早くプロの道を選んだ。持ち前の高い身体能力とシュート力は特別指定選手時代から大きな話題を呼んだが、主軸であるアレックス・カークと田中大貴のケガが長引いた2020-21シーズンは苦境のチームを救うアグレッシブなプレーでしっかり爪痕を残した。チャンピオンシップを逃す無念さを味わったA東京が王座奪回を目指す2021-22シーズンには『田中に次ぐエース』としてさらなる期待が寄せられそうだ。
小酒部と同様、2020-21シーズンチームの主力として一躍注目を集めたのはレバンガ北海道の山口颯斗だろう。筑波大学をインカレ準優勝に導き、自身も得点王に輝いた194cmのオールラウンダー。特別指定選手であるにもかかわらず27試合中19試合にスタメン出場すると、平均23.24分のプレータイムを得て平均8.6得点、3.5リバウンドの数字を残した。劣勢にも下を向かないメンタリティも魅力の1つ。2020-21シーズン14勝45敗で東地区最下位に沈んだ北海道がどこまで浮上できるか。ルーキーイヤーを迎える山口のステップアップが大きなカギを握ると言っていいだろう。
川崎ブレイブサンダースの特別指定選手を経てルーキーシーズンを戦った増田啓介は随所に確かな成長を感じさせた。ベンチスタートながら流れを変える3ポイントシュートやゴール下での合わせの上手さが光り、頼れるシックスマンとしての評価を勝ち取りつつある。中でも印象に残るのは約30分出場した昨年11月の千葉ジェッツ戦。4本の3ポイントシュートを含め23得点をマークした増田は逆転勝利の立役者となり、そこから得た自信は天皇杯優勝への活躍にもつながった。任された3番ポジションでは194cmのサイズと強いフィジカルを生かしたディフェンスでも貢献。シューター辻直人が抜けた2021-22シーズンの川崎を支えるキーマンの1人になりそうだ。