B2プレーオフ準々決勝で茨城ロボッツに2連敗し、B2初シーズンの挑戦が終わった。佐賀バルーナーズのルイス・ギル・トーレスヘッドコーチは、敗れた後のロッカールームで選手や社長に向け、「素晴らしいシーズンをありがとう」と感謝を捧げた。B1昇格を目指し、全力で走り切ったことは、試合を終えたばかりの選手やスタッフが清々しい表情が物語っていた。
2018年に誕生した佐賀バルーナーズは、Bリーグの準加盟クラブとして認定される。翌年の2019-20シーズンよりプロチームとして、B3リーグに参戦。1年目でいきなり優勝し、クラブ運営も並行して成長を遂げ、B2昇格を果たす。迎えた今シーズン、B2西地区3位でプレーオフのチケットを勝ち取った。「3年前、我々はプロチームとして存在はしていなかった」とトーレスヘッドコーチはこれまでの軌跡を振り返る。チームを作り、一つひとつ上がってきた舞台でしっかりと結果を残してきた。B2プレーオフ準々決勝で敗れはしたが、「茨城と対等に競い合えるまでのゲームをすることができ、チームは着実に成長している」と胸を張った。
勝たねばならない茨城との2戦目、得点源のレイナルド・ガルシアが序盤からファウルトラブルに見舞われる。そこで気を吐いたのが昨シーズンのB3からトーレスヘッドコーチとともに、チームの歴史を作ってきた小松秀平と澁田怜音である。思い切りの良いプレーで澁田がチャンスを作り、小松が得意の3ポイントシュートで追い上げた。3ポイントシュート4本を含む16点を挙げた小松は、「チームに流れを持って来られたのは良かったと思います。でも、それが勝利につながらなかったのがすごく残念です」と悔しい結果に終わった。
佐賀も茨城も新型コロナウイルスの陽性者を出し、苦しいシーズンでもあった。トーレスヘッドコーチは「選手だけではなく、自分も含めたスタッフも病院に隔離され、肺炎の症状もあった」そうだ。最終的には選手9名とチームスタッフ2名が陽性判定を受け、うち6名に症状が現れている。3月27日から全ての活動を止めねばならなかったが、隔離期間を経て4月10日より再始動する。そこから約1ヶ月間に及ぶ戦いに対し、「本当に素晴らしい努力をしてくれた。プレーができなかった状態からプレーオフで戦えるまで調子を戻してくれたのが、今シーズンの成長の証である。選手たちを誇りに思う」とトーレスヘッドコーチは評価し、満足の行くシーズンとなった。