無観客試合となったが、モチベーションを高めた応援メッセージ
チャンピオンシップ進出が断たれた両チームだが、シーズン最多勝率更新のラストチャンスに懸ける横浜ビー・コルセアーズと、是が非でもホーム最終戦に勝利を届けたいアルバルク東京。緊急事態宣言により無観客試合となったが、コートに張り出されたファンからの応援メッセージに囲まれながら、互いにモチベーションを高めて試合ははじまった。
第2クォーター、横浜が18点ランで21-37と主導権を握る。その間に5本のスティールを数えるディフェンスが効いた。横浜のカイル・ミリングヘッドコーチは、「相手はミドルピックが多いのは分かっていた。パスを出されたらローテーションするなど、コートに出ている一人ひとりが役割を徹底してくれた」とチームディフェンスで上回る。
体調不良のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチに代わって指揮を執るA東京の水野宏太トップアシスタントコーチは、横浜のディフェンスに苦しめられたオフェンスについてこう述べている。
「横浜のステップアウトしながらアンダーするディフェンス(※ピック&ロールに対するディフェンス)に対して、どうしても流れを消されてしまう部分があった。それに対してボールを動かし、複数回のピックを使うことによってアドバンテージを取る時間帯もあった。しかし、その中でも攻め切れなかったり、自分たちのアグレッシブさを失う時間帯があったのが良くなかった」
第2クォーター終盤、須田侑太郎、ザック・バランスキーの3ポイントシュートで対抗するA東京は18点から7点まで差を縮め、34−41で後半へ向かう。「前半の終盤から、なんとか自分たちでエナジーを出して、カムバックすることはできました」とキャプテンの安藤誓哉は言い、息を吹き返した。
第3クォーター開始4分、安藤が3ポイントシュートを決め、44-43と逆転に成功。その後は互いに4度のリードを奪い合うシーソーゲームが続く。残り30秒、最後にリードを奪ったのは横浜だった。パトリック・アウダが逆転シュートを決め、次のオフェンスではフリースローをもらって71-73とする。2点を追うA東京に残された時間は、長くいとも短いとも感じる18秒だった。
その時点で横浜のチームファウルは1つ。ファウルを使って時間を稼ぐことは両チームにとって想定内だった。残り9秒、ロバート・カーターがファウルし、時間を止める。田中大貴からパスを受け、バランスキーにボールが渡った。残り4秒、「ディフェンスを振り切れてはいなかったが、思い切って打つしかない。リバウンドを取る時間もなかったので、決め切ろうと思っていました」というタフショットはリングの左側にそれて万事休す。71-73のまま横浜が最終戦を飾るとともに、2017-18シーズンの18勝42敗(30%)を塗り替える19勝40敗(32.3%)のシーズン最多勝率を更新した。