前半戦の貯金がなくなりつつある現状
B3からB2へ昇格を果たした佐賀バルーナーズは、スペイン代表のアシスタントコーチを務めるルイス・ギル・トーレスヘッドコーチの下、開幕から20試合を14勝6敗と大きく勝ち星を重ね、一時はB2西地区首位に立つ快進撃を見せた。43試合を終えた今、西地区3位とB2プレーオフ出場圏内にいる。年が明けた2021年を迎えてからは6勝11敗と黒星が先行している。この現状に対し、フェルナンド・カレロ・ヒルアシスタントコーチはスカウティングにより、対応されはじめていることを原因として挙げた。
FIBAユーロバスケット2022予選Window3のため、スペイン代表に招集されたトーレスヘッドコーチは3月24日の香川ファイブアローズ戦まで不在となる。「戻ってきてくれるまで、しっかりと役割を務めたい」というヒルアシスタントコーチは、保田尭之アシスタントコーチとともにチームをまとめ、ここが踏ん張りどころでもある。
東地区2位の茨城ロボッツ戦は連敗を喫した。1戦目は93-101のハイスコアゲームを落とす。2戦目はゾーンディフェンスが機能して得点こそ抑えることはできたが、佐賀のオフェンスも止められてしまい、59-74のロースコアで敗れている。「オフェンスのところでなかなか外のシュートが入らず、自分たちの持ち味を出せない時間帯が続いてしまいました。このような強いチームが相手では、オフェンスでもディフェンスでもしっかりやるべきことを遂行しなければ勝てないとあらためて感じた試合でした」と振り返ったのは中西良太である。
今シーズンより熊本ヴォルターズから移籍し、これまでもB2を主戦場として活躍してきた。「このような強いチーム」という東地区2位の茨城だが、B3から昇格してきたばかりのチームだからこそ、その差を痛感したのかと踏み込んでみる。「やっぱり強いチームと対戦するときには、一つひとつの細かいプレーで相手の方が上回っていると感じていました。それでも、2連敗しておいて言うことではないですが、勝てない相手ではない。力の差を圧倒的に感じたわけではないです」と中西は否定し、チームとしての自信がうかがえる。
レギュラーシーズンの前半戦と後半戦では勝敗数が逆転しつつあり、現在23勝20敗。貯金が底をつきそうな状況にある。「ここにきて負けが込んできており、あまり良い状況ではないと感じています。ただ、やるべきことは変わらない。相手のことを考えるよりも、自分たちのバスケットを1試合1試合積み重ねていくことが大事になります」と中西は言い、準備してきた佐賀のスタイルを突き詰め、コート上で表現することが求められる。トーレスヘッドコーチがいない今こそ、その真価が問われる。