10分間で35点を挙げたオフェンスのチームの意地
前節まで西地区トップに立っていたシーホース三河は「オフェンスのチームである」と鈴木貴美一ヘッドコーチも、選手たちも声を揃える。34試合を終え、平均84.4点は西地区トップだ(リーグ1位=富山 88.9点、2位=千葉 87.9点)。リーダーズを見れば、3ポイントシュート成功率トップ3を三河の選手(1位川村卓也:50%、2位金丸晃輔:47.8%、3位シェーン・ウィティングトン:47.5%)が占めている。ガードナーはBリーグで3度、川村も旧JBL時代に4度の得点王に輝いたオフェンスに長けた選手が揃っている。
しかし、第20節の川崎ブレイブサンダース戦は、初戦に63-93と30点差をつけられて敗れた。翌日は、第4クォーターに35点を挙げてオフェンスチームの意地を見せたが、93-96とワンゴール足りずに2連敗。同一チームに連敗を喫したのは、今シーズンこれがはじめてのことである。現在23勝11敗、西地区2位に後退した。
リバウンドが勝負を分けた。ここ最近の川崎は、オフェンスリバウンドを獲られるシーンも多かったが、「ビッグマンだけではなく、苦しいときはボールを弾いてチーム全員で獲り切ること」を佐藤賢次ヘッドコーチは徹底して試合に臨む。その言葉通り、残り16.8秒に三河を突き放す3ポイントシュートを決めた篠山竜青は、リバウンドでも6本を記録する。その総数は川崎が10本上回り、課題として浮き彫りになっていた相手のオフェンスリバウンドは4本しか許していない。
接戦となったが、第3クォーター終了時点では72-58と川崎が14点リードしていた。最後の10分間に川崎も24点とハイペースで得点を重ねる。三河はさらに上を行く35点を挙げ、オフェンスのチームであることを自ら証明してみせた。ダバンテ・ガードナー(平均19.2点)に次ぐ、チーム2番目の得点源である金丸晃輔(平均16.9点)は最後の12秒しか出ていないにも関わらず、である。シェーン・ウィティングトン、長野誠史、川村卓也が次々と3ポイントシュートを決め、追い上げていく。第4クォーターだけを抜き出せば、「みんなでバランスよく、広いスペーシングの中で、ガードナーや柏木(真介)さんのペイントアタックからキックアウトという効率良いバスケができたことが35点につながった」と川村は言う。
金丸は首を傾げたり、苦々しい顔をしたり、川崎のディフェンスを攻略することができずフラストレーションを溜めていた。「もう少し出していれば、20点ほど獲れていたと思う」と話す鈴木ヘッドコーチだが、ファウル覚悟でフィジカルにぶつかってくる相手に対し、疲弊する前にプレータイムを制限した。「本来は言葉をかけないようにするタイプ」という鈴木ヘッドコーチだが、この試合の金丸に対しては例外だった。