7月21日(日)、池内 泰明HC率いるヤングジャパンは、『ゼビオチャレンジカップ 男子日本代表国際親善試合2014』の第3戦で、スプリングフィールド大(米国)に大勝した(97-63)。池内HCは5月の『第37回李相佰盃』、7月の『三菱電機カップ関東大学バスケットボール連盟創立90周年記念試合』(この時は日本学生選抜)に続き、今回のヤングジャパンも含め、2020年東京オリンピックの主力となる若手選手の育成を手掛けた。
小誌vol.3(P44-45:学生選抜から日本代表へ)やオフィシャルサイトのコラム(池内HCが目指すハイスコアバスケがおもしろい!)で触れたように、池内HCが掲げたテーマは「フルコートでトランジションの速いバスケットをしよう。ディフェンスは前からプレッシャーをかけて、チャンスがあればどんどんシュートを打っていく。たとえ負けるにしても90-100くらいになる“乱打戦”のほうが、やっている選手たちもおもしろいし、90点ぐらい取れれば、勝敗の面でも何が起こるかわからない」というもの。
その成果のひとつが、この試合であり、それは、試合後の記者会見に臨んだ池内HCや#4藤井 祐眞キャプテン、#12野本 建吾選手のコメントからも感じ取れた。
池内:ありがとうございました。選手たちがよく対応をしてくれました。この3戦目はいいディフェンスをしてくれたのでゲームも締まったと思います。出だしで少しもたついた感じはあったのですが、(第2P以降)展開を速くして戦ってくれた結果だと思います。(敗れた)1戦目はセットオフェンスが30回ぐらい、2戦目は9回と、そこが1戦目と2戦目の違いだったので、今日もこれを継続しようと指示しました。選手たちはそれを意識してプレイしてくれました。
藤井:今日の試合は出だしが硬かったというか、みんな走れていなかったかなという印象でした。それでも第2Pからは全員出場でき、みんながよく走れるようになり、ようやく自分たちのバスケットができたと思います。
野本:前半は自分たちが思うようなバスケットができませんでしたが、第2P以降はうまく修正でき、スピードのある、展開の速いバスケットができたのでよかったと思います。
相手(スプリングフィールド大)は単独チームらしい連係の良さを見せ、ゾーンディフェンスなどを織り交ぜて勝負をかけてきた。ただ、個人能力で上回るヤングジャパンは、試合が進むにつれて積極的な攻守で相手を圧倒。11本の3Pを始め、#12野本、#6藤高 宗一郎らのドライブインで点差を広げ、圧勝した。
池内HCは自身が掲げたテーマと、その総括を求められ、こう答えた。
池内:ハイスコアに持っていくためには、攻撃回数を増やさなければならない。攻撃回数を増やすためには走らなければならない。その起点となるのはディフェンスだと思っています。今日は(チーム練習は十分ではありませんでしたが)、藤井キャプテンを始めガード陣が積極的に上からプレッシャーを掛けてくれましたが、このようなディフェンスが重要だと再認識しました。オフェンスは、1戦目に比べて2戦目3戦目とかなりフリーランスに、(自分たちのディフェンスの状況を見て)プレイを選択してくれました。これはかなり練習をしなければなりませんが、彼らは判断力も優れていますから、試合を重ねるごとに良くなっていきました。彼らは、ディフェンスがディナイしてきたらカッティング、少し空いていればシュートという選択ができます。今日のようなディフェンスのプレッシャー、オフェンスの良いリズムを共有し、またチームづくりをしていければと思います。
今回の日本代表チーム(ヤングジャパン)や、日本学生選抜への期待を聞かれると、
池内:2020年はこの世代が中心になります。いろいろなことに対応できるプレイヤーになって欲しいですね。今、自分が考えているのは「かなり運動力を増やしていきたい」ということ。それもひとつのバスケットのスタイルです。その上で、今日のようにリードをしたらガードが上手くコントロールしてくれたように、積極的に走って点を取りに行くところと、じっくり5人で攻める場面といった緩急をつけたプレイができるようになって欲しいんです。運動量を増やしていけば、さまざまなバスケットに対応ができるようになると思いますし、学生を中心に若手選手たちには、運動力を増やすバスケットができるように学生を指導し、共有するテーマを追求していきたい。それが次につながってくれると嬉しいですね。
どの大会を振り返ってもまだまだ課題があるのは確かだ。ただし、手応えを感じられるのもまた事実。再生途中の『JAPAN』が強くなるには若手の育成が急務であり、現在の長谷川ジャパンとの連携も不可欠となる。今年度の活動が男子日本代表の“2020年”につながる礎となるのは間違いない。今夏のジョーンズカップ、またU-17、18の国際大会での活躍を注目し、エールを送り続けよう!
第37回李相佰盃 日韓大学選抜大会
2014/5/16~18@韓国・ソウル
【日本学生選抜】
ヘッドコーチ/池内 泰明(拓殖大)
コーチ/行広 伸太郎(大阪学院大)
トレーナー/岩本玄次(筑波大)
マネージャー/小野 貴大(拓殖大)
マネージャー/土屋 謙太(全日本大学連盟学生委員)
#4 安藤 誓哉(180㎝/G/明治大4年/明成高)
#5 藤永 佳昭(172㎝/G/東海大4年/北陸高)
#6 晴山 ケビン(190㎝/F/東海大4年/盛岡市立高)
#7 中東 泰斗(190㎝/F/明治大4年/光泉高)
#8 野本 建吾(199㎝/C/青山学院大4年/北陸高)
#9 坂東 拓(183㎝/G/筑波大4年/北陸高)
#10 笹山 貴哉(177㎝/G/筑波大4年/洛南高)
#11 原 修太(186㎝/F/国士舘大3年/習志野高)
#12 ベンドラメ 礼生(184㎝/G/東海3年/延岡学園高)
#13 橋本 晃佑(201㎝/C/東海大3年/宇都宮工業高)
#14 鵤 誠司(184㎝/G/青山学院大3年/福岡第一高)
#15 赤石 遼介(188㎝/F/拓殖大3年/太田東高)
※2014年5月16日現在
2014/5/16日本学生選抜 ●66-83〇 韓国学生選抜
2014/5/17日本学生選抜 ●105-116〇 韓国学生選抜
2014/5/18日本学生選抜 ●77-82〇 韓国学生選抜
関東大学バスケットボール連盟創立90周年記念 三菱電機カップ
2014/7/5~6@東京・国立競技場代々木第二体育館
【日本学生選抜】
総括/吉田 健司(筑波大)
ヘッドコーチ/池内 泰明(拓殖大)
アシスタントコーチ/陸川 章(東海大)
トレーナー/上倉 將太(白鴎大)
マネージャー/小野 貴大(拓殖大)
マネージャー/土屋 謙太(関東学生連盟)
#4 野本 建吾(199㎝/F/青山学院大4年/北陸高)
#5 藤永 佳昭(172㎝/G/東海大4年/北陸高)
#6 バランスキー ザック(192㎝/C/東海大4年/東海第三高)
#7 晴山 ケビン(191㎝/F/東海大4年/盛岡市立高)
#8 中東 泰斗(190㎝/SG/明治大4年/光泉高)
#9 大垣 慎之介(184㎝/F/拓殖大4年/藤枝明誠高)
#10 坂東 拓(184㎝/SG/筑波大4年/北陸高)
#11 笹山 貴哉(178㎝/G/筑波大4年/洛南高)
#12 原 修太(186㎝/SG/国士舘大3年/習志野高)
#13 橋本 晃佑(203㎝/C/東海大3年/宇都宮工業高)
#14 ベンドラメ礼生(184㎝/G/東海大3年/延岡学園高)
#15 赤石 遼介(188㎝/F/拓殖大3年/太田東高)
#16 ジョフ チェイカ アハマド バンバ(200㎝/C/拓殖大2年/延岡学園高)
#17 馬場 雄大(194㎝/F/筑波大1年/富山第一高)
#18 杉浦 佑成(194㎝/F/筑波大1年/福大大濠高)
2014/7/5日本学生選抜 ●80-84〇 ビクトリア大学
2014/7/6日本学生選抜 〇71-66● ビクトリア大学
ゼビオチャレンジカップ 男子日本代表国際親善試合2014 ~近畿バスケットボール100周年記念大会~
2014/7/19~21@京都・ハンナリーズアリーナ、大阪・舞州アリーナ、神戸・グリーンアリーナ神戸
【日本代表選手(ヤングジャパン)】
チームリーダー 堀井 幹也(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ 池内 泰明(拓殖大)
アシスタントコーチ 行広 伸太郎(大阪学院大)
総括 石坂 雅彦(公益財団法人日本バスケットボール協会)
マネージャー 小野 貴大(拓殖大)
#4 藤井 祐眞(180㎝/PG/東芝ブレイブサンダース神奈川/拓殖大)
#5 白濱 僚祐(189㎝/F/アイシンシーホース三河/白鴎大)
#6 藤高 宗一郎(190㎝/F/日立サンロッカーズ東京/関西大)
#7 西川 貴之(195㎝/F/レバンガ北海道/明治大)
#8 須田 侑太郎(187㎝/SG/リンク栃木ブレックス/東海大)
#9 大垣 慎之介(184㎝/SG/拓殖大4年/藤枝明誠高)
#10 中東 泰斗(191㎝/SG/明治大4年/光泉高)
#11 笹山 貴哉(178㎝/PG/筑波大4年/洛南高)
#12 野本 建吾(200㎝/CF/青山学院大4年/北陸高)
#13 小阪 彰久(196㎝/C/大阪学院大4年/大阪学院大学高)
#14 ベンドラメ 礼生(183㎝/G/東海大3年/延岡学園高)
#15 橋本 晃佑(203㎝/C/東海大3年/宇都宮工業高)
※2014年6月4日現在
2014/7/19ヤングジャパン ●64-70〇 スプリングフィールド大学(@京都)
2014/5/20ヤングジャパン 〇90-84● スプリングフィールド大学(@大阪)
2014/5/21ヤングジャパン 〇97-63● スプリングフィールド大学(@神戸)
文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。