2年前、日本体育大学は関東大学2部だったが、1・2年生チームで臨んだ新人戦は準優勝の好成績を収めた。自信をつけた下級生たちがチームを底上げしたその年、1部へと返り咲いた。常に強い気持ちでチームを引っ張ってきた土居光は4年生になった今、キャプテンを任されている。2年前は井手優希(現JR東日本秋田ペッカーズ)、昨年は大浦颯太(現秋田ノーザンハピネッツ)という4年生を支える後輩たちの活躍が目立っていただけに、土居にとってもラストシーズンに懸ける思いは強かったはずだ。
しかし、コロナ禍により練習もままならない状況に見舞われた。遠ざけられたからこそ、「バスケに対する気持ちが高まり、強くなりました。それは、他の選手たちも同じ気持ちです。もちろんこの試合に勝って優勝する目標を持っていましたが、今年一発目の試合がどうなるかという不安もありました」と土居はいう。オータムカップ2020初戦では、昨年のインカレ(全日本大学バスケットボール選手権大会)チャンピオンである筑波大学と対戦し、接戦の末に66-77で敗れている。
昨年のインカレ準々決勝以来の対戦であり、そのときは77-94と17点差をつけられた。初の公式戦を経た土居は、「自分たちのバスケができている時間帯がこれまでの筑波大学戦よりも長くなり、やるべきことはできていたと思います。その反面、まだ学ぶことがあるというのも見えてきました」と前に進むきっかけをつかむ機会となった。
オータムカップへ向けて練習試合も行ってきたが、「やっぱり公式戦は違いました」と土居はいう。新チームとなった日本体育大学には「新入生の小川や他のウイングマン、下級生の正義や遥平も力を付けてきて、良いチームプレーができるようになってきました」と話し、「これからだな」と手応えも感じていた。
土居をはじめ、井手拓実、バム・ジョナサン(ともに3年)、古橋正義(2年)、小川麻斗、三宅翔リーディローチ(ともに1年)が福岡第一高校出身であり、筑波大学戦はそのうちの4人(土居・井手・バム・古橋)が先発で起用された。もう一人のスタメンであるディクソン・ジュニア(4年)は中部第一高校出身であり、同じく青木遥平(2年)は成長株だ。ロスター15人中8人が“第一”出身で構成された日本体育大学が狙うのは、もちろん日本一である。ルーキーの小川は「最近ではあまりインカレで優勝していないので、自分が入って、昔のように自分が日体大を強くするという気持ちがあって来ました」とOBたちが泣いて喜ぶような、頼もしいコメントを残した。
オータムカップ2020は全ての順位決定戦があり、2回戦で敗れた日本体育大学は5-8位決定戦へ進み、次戦は10月24日に日本大学と対戦する。「インカレで優勝するためにも、オータムカップでステップアップしていきたいです」と土居は言い、真剣勝負で試合勘を取り戻しながら、最終目標に向かって駆け上がって行く。
文・写真 泉誠一