part1「道しるべとなった『来シーズンは必ずB2に行く』」より続く
リスペクト、ファミリー、そして謙虚
プロとアマチュア(実業団)が混在するB3は、チームの環境などによって温度差があると聞く。むろんコートに立つ選手たちは常に「勝ちたい」という思いでプレーしているのだが、それでも練習環境やチーム編成の差が勝敗に影響することを目の当たりにすれば、気持ちの持続が難しくもなってもおかしくない。Bリーグ元年から3シーズン、バンビシャス奈良でB2を経験した小松秀平と、盛岡南高校から駒澤大学に進学し、主力選手として活躍を続けていた澁田怜音。2人はなぜB3の佐賀バルーナーズに入団する決意をしたのだろうか。
── 澁田選手は岩手県出身。高校3年生のときと、大学1年生のときに地元の岩手ビッグブルズで特別指定選手としてプレーしています。それが昨シーズン(2019-2020)、特別指定選手として佐賀に入ったのはなぜでしょう?
澁田 もしかしたらほかのチームからもオファーがあったのかもしれないけど、本当にそこはわからなくて、早い段階で佐賀に決めました。決断したのはルイスヘッドコーチの存在が大きかったです。やはり世界一という実績のあるコーチっていうのに惹かれました。僕自身、バスケットは「これがいい」、「これはよくない」という判断基準を持っていないんですね。でもアシスタントとはいえチームを世界一に導いたコーチから学べるっていうのは間違いなく惹かれるものがあったので、佐賀に決めたんです。
── 実際に佐賀に来てみて、どんな印象を持ちましたか?
澁田 初めて練習会場に行ったときに結構活気があるんだなと感じました。もちろんいい意味です。というのも、僕の中の勝手なイメージとして、プロ選手っていうのは自分の世界を強く持っていて、バチバチやる……練習から喧嘩するくらいの、しゃべりかけることさえできない雰囲気でやっているのかなって思っていたんです。でも佐賀はそうじゃなくて、いい意味で活気があったんです。また竹原(哲平)社長がシーズンを通して「『リスペクト』と『ファミリー』というチームのコンセプトを大事にしてほしい」ってずっと言われていて、僕が初めて佐賀に来たときにも「それをコンセプトとして、守ってほしい」と言われたのを覚えています。練習前にそれを聞かされていたので、実際に練習に入ってみてもチームがすごくひとつにまとまっているなって強く感じました。