bjリーグからNBL参戦に唯一手を挙げた千葉ジェッツ。迎えた新シーズンは日立サンロッカーズ東京、リンク栃木ブレックスを破り、開幕4連勝。昨シーズンまでトヨタ自動車アルバルク東京のベンチに甘んじていた小野龍猛や荒尾岳、リンク栃木ブレックスへ移籍しプレイタイムが大幅に減った宮永雄太らが、千葉で息を吹き返した。
しかし、その4連勝はビギナーズラックに過ぎなかったとも言える。5戦目以降は黒星が続き20連敗。交流戦で何とかウェスタンカンファレンスの下位チームから白星を奪ったが、気が付けばイースタンカンファレンス最下位が定位置となっていた。
赤ん坊からの成長を遂げ、歩き始めた千葉ジェッツ
指揮を執るのは昨シーズン、横浜ビー・コルセアーズを率いてbjリーグを制したレジー・ゲーリーHC。目指すべきスタイルに対し、シーズンを通して徹底させるコーチングには定評があり、尻上がりに調子を上げる印象が強い。外国人選手が離脱したり、ケガ人が出たり、選手が揃わない日々も多く厳しいファーストシーズンでもあった。それでもやるべきことを徹底し続けて来たゲーリーHCのチームらしく、シーズン終盤を迎えた今、離陸し始めている。
「私のコーチングフィロソフィーに対して、選手全員が理解を深めて来たことが一つ。そして2つ目に、練習は絶対に休みません。疲れてくるシーズン後半でも、ずっと変わらない練習を続けています。チーム終盤に一番ベストなバスケットができるという目標を当初から掲げていました。今でもそれに向かって、選手たちとともに毎日上達しようと努力を続けています」
昨シーズンから続けて千葉でプレイするのは佐藤博紀、一色翔太、田中健介の3人のみ。それ以外の選手は入れ替わり、ヘッドコーチらスタッフも新たに、心機一転のスタートを切った。その状況に対してゲーリーHCは、「新しい選手を迎えたばかりのシーズン当初は、チームとしてはまだ赤ん坊でした。今は次のステップへ移り、ようやく歩き始めたという状況です」と説明。
歩き出した千葉は交流戦を終えた後、日立東京に勝利を挙げ、当時3位だったレバンガ北海道に連勝し、3連勝で迎えた4月12日(土)、2位トヨタ自動車アルバルク東京戦。この試合からケガで戦列を離れていた小野が復帰。チームもディフェンスが機能し、トヨタ東京を相手に30-19とリードして前半を終えた。しかし、後半に入るとトヨタ東京#10岡田優介の3Pで点差を縮められ、開始5分で逆転される。さらにトヨタ東京に連続得点を許し、次第に点差は離れていき、54-66で敗れた。翌日の試合も前半は優っていたが、62-81で同じように後半に畳みかけられ2連敗。
それでも千葉は意地を見せた。それがこれまでと違うところとも言えよう。
「選手たちが本当に戦う姿勢を持ってこの試合に挑んでくれたことにすごく満足しています。最近はチームとしても調子も上げており、勝ちに行ったという選手たちの気持ちが伝わって来たことがうれしい」とゲーリーHCは評価していた。
2年前のオールジャパン敗戦後、もう一度JBLチームと戦いたい…
生え抜き選手の一人である田中健介。取材を行った4月12日のトヨタ東京戦は、途中から出場しプレイタイムは8’45、2得点。今シーズンの先発出場は1回きり。しかし昨シーズンは、プレイオフを含めて55試合中44試合で先発を務めて来た。今シーズンの先発PGは、元JBL選手である宮永が任されている。
「それは………しっかりと自分の中で受け止めています。まだまだ足りないものがあるのだと思うし、しっかりステップアップしていきたいと思います」
一瞬言葉を詰まらせた後、気を取りなすように前向きな言葉を並べた田中。自分でも意地の悪い質問だと思う。しかし、田中には内なる熱い思いがあるはずだ。