「昨年はフィジカルの部分で完全に押されてしまって、ほとんどリングに近づくことができませんでした」
東北学院大学の宮野良(秋田工業高校)は1年時の体験をそう振り返る。明治大学との1回戦は50-111の大差で敗れ、宮野は6点しか挙げられなかった。
2年生になった今年は、東北リーグで平均25.5点を挙げ、MVPを受賞。「オフェンスリバウンドやドライブ、ポストプレーなど通用する部分があり、東北リーグと同じように自分のプレーができたと思います」と言うように、拓殖大学を相手に23点・10リバウンドの活躍に胸を張る。しかし結果は65-105、今年も100点ゲームで初戦敗退となった。
一気に離されてしまった後半について、「第3クォーター以降はチームの雰囲気が悪くなってしまいました。昨年とやっぱり同じなのかなという気持ちが選手の中で流れており、それを最後まで変えられなかったのがダメでした」と反省する。「負けている場面で弱さが出てしまい、ディフェンスでもオフェンスでも声が少ないのが現状です。これから3年生になり、上級生になるので、自分から声を出して発信して、チームの雰囲気を変えられるようにしたいです」と来年に向け、新たな役割が見つかった。
関東のチームとは身体の当たりの強さが違う点は、どのチームの選手たちも声を揃える。「やっぱりディフェンス時のチェックやフィジカルの強さが全然違いました」と宮野も感じていた。体力が消耗し、ベンチメンバーを投入したが、「今まで一緒にコートに立ったことがない5人を出さなければならず、そこがうまく噛み合わなかったです。相手のディフェンスが強かったというよりは、自分たち自身で後半は崩れてしまいました」と敗因を挙げ、ベンチ入り可能な15人全員で関東のチームには挑まねばならない。
4年連続出場を果たす東北学院大学だが、4年生は長嶺都貴央(福島東稜高校)だけであり、下級生が主力となることでの経験不足も否めなかった。それでも、昨年より得点を15点伸ばし、失点も6点抑えたことは、ほんの少しだが成長を感じている。
「前半を戦ってみて昨年とは違い、関東のチームとも戦えるのではないかと思うことはできました。後半はチーム総力の差が出て負けてしまいましたが、それでも昨年みたいな出だしから離され、すぐに相手にメンバーを下げられてしまい、早く終わって欲しいと思っていた試合とは違いました。今年は、来年に希望がつながる試合になったと思います」
自信を見せた宮野だが、身体の線はまだまだ細い。だが、まわりを見回せば、同じような体格の2年生も少なくはない。1年後または2年後こそ対等に戦えるフィジカルの鎧をまとえるように、努力を継続していけば良いだけだ。
「今は3年生以下が主力のチームであり、来年もメンバーはほとんど変わりません。この1年間でさらに力をつけて、来年も東北リーグを必ず優勝し、インカレで1回戦突破を絶対にしたいです」
文・写真 泉誠一