とにかくシンプルにパスを回してボールを大きく振ること
台風19号が迫る中で行われた富士通レッドウェーブ戦は、良いところがないまま45-75で完敗した。「全然パスが回せていなかったことが一番の原因」という藪内夏美ヘッドコーチが目指すバスケスタイルとはかけ離れていた。「とにかくシンプルにパスを回してボールを大きく振ること」ともう一度自らのスタイルに立ち返る。迎えた10月19日のトヨタ自動車アンテロープス戦は61-58で勝利し、ようやく片目が開いた。
キャプテンの北村悠貴は、「自分たちがやりたいバスケットができて勝てたことが一番うれしいです」と初勝利に言葉が弾む。指揮官も「一番は選手たちが信じて遂行してくれたことが良かったです」と安堵し、目指すべきバスケスタイルは間違っていなかった。
「シーズンがはじまる前からパワーとスピードを意識して練習してきました。今日は速攻もいっぱい出せたし、パワードライブなどもできていたので、そこは練習してきたことが試合でも生かせたと思います」と北村はオフェンスを勝因に挙げる。ベンチメンバーの活躍が光り、第4クォーターに投入した八木香澄がすぐさま3Pシュートを決め、最後も追い上げられる中、石黒むつみの3Pシュートで引き離した。
「限られた時間の中で、自分たちが何をしなければいけないかを分かってプレーしてくれています。たとえ1分でも起用し、みんながコートで輝いて欲しいというのが私のモットーです。それを体現してくれた今日の試合は良かったです」という藪内ヘッドコーチの期待に応え、選手層は厚みを増している。北村も「みんな出る時間は限られていますが、その中でもやるべきことであったり、役割を考えてコートに入れるようになったとすごく感じています。そこは収穫でした」とチーム一丸となって戦えたことを自信に変えていた。