社会人選手たちが熱戦を繰り広げてきた「全日本実業団バスケットボール選手権」は最終日を迎え、第46回目のチャンピオンが決まった。
女子決勝・山形銀行(東北1位) vs 秋田銀行(東北2位)は昨年と同じカードであり、4回目となる優勝決定戦での東北対決。しかし、これまでの3度はいずれも秋田銀行が勝利してきた。どちらも譲らず30-30、同点で終えた前半。東北1位の意地、そして2年ぶりの奪還とともに、決勝で秋田銀行に勝てないジンクスを払拭したい山形銀行だったが、3Q終了時点で43-41、秋田銀行が2点をリード。迎えた4Q、開始早々#10阿部 愛美選手の3Pで逆転。さらに連続シュートを決め、開始2分で49-43、山形銀行がリードして形勢逆転。そこから両チームの12番(山形銀行:宮崎 優子選手/秋田銀行:成田 麻沙美選手)による3Pの決め合いとなりながらゲームは進み、55-54と辛うじてリードは山形銀行。ファウルをもらった秋田銀行#13伊藤 美和子選手がフリースローを決め、残り2分を切ったところで逆転に成功。決め返したい山形銀行だったが、ターンオーバーを犯しファウルゲームへ。その後は山形銀行に対し1点も許さず、59-55で競り勝った秋田銀行が2連覇を達成。8回目の優勝で、大会最多チームとなった。
男子は日本無線(関東1位)vs 日立金属(関東9位)、九州電力(九州1位)vs 三井住友銀行(関東4位)による準決勝がまずは行われた。
関東1位の日本無線だったが、リードを握ったのは同9位の日立金属。2シーズン前まで日立電線ブルドッグスとしてJBL2に参戦していたチーム。社名が変更し日立金属となり、実業団リーグ2シーズン目でこの全国の舞台へと勝ち上がって来た。前半は28-42とされ、14点を追いかけるのは日本無線。その後、徐々に追い上げながら4Q残り2分を過ぎ、日本無線#9小林 純也選手の得点で1ゴール差まで迫る。そして、#2福田 侑介選手が3Pを沈めて61-62、いよいよ1点差。その後、不用意なファウルでフリースローを与えるが、「(両方)入っても3点差」と強気な姿勢を崩さない#2福田選手。さらにフリースローで失点を許すが、#2福田選手は有言実行となる3Pを再び決めて64-65、残り20秒。ファウルゲームでフリースロー2本を決められ、また3点差とされる。残り7秒、同点を目指して放った#2福田選手の3Pは惜しくも外れてしまう。逆に日立金属#24黒田 幸太選手が自身27点目となるフリースローをしっかり決め、69-64で逃げ切った日立金属が決勝進出を決めた。
準決勝もう一試合。連覇を目指すディフェンディングチャンピオン九州電力が追う形で試合は進む。フルコートプレスやゾーンディフェンスといったチームディフェンスで九州電力を抑える三井住友銀行。昨日、関東3位と上位の新生紙パルプ商事に勝利したことで勢いに乗るチーム。九州電力もオフェンスリバウンドを拾うが、セカンドチャンスを決めるまでには至らず、少しずつ点差が離されて行き、3Q終わって53-37と三井住友銀行がリードしたまま。負けられない九州電力は4Q開始早々、連続得点を挙げて一気に点差を縮め、47-55。残り7分、三井住友銀行のリードはたった8点。そこからは一進一退となり、思うように九州電力は点差を詰めることができないまま時間が過ぎる。結果は、三井住友銀行が68-55で勝利し、初めての決勝へ進んだ。
連戦となるラストマッチに挑む日立金属と三井住友銀行。先にペースをつかんだのは日立金属。しかし三井住友銀行も、今大会限りで引退を決めている#81清水 洋選手を投入すると、激しいディフェンスから流れを呼び込み2Q開始4分過ぎには18-18と同点に追いつく。日立金属も速攻から怒濤の連続得点で再び引き離し、30-24とリードして前半を終えた。3Q、3P攻勢で逆転を目指す三井住友銀行。日立金属も#3宇佐美 也選手が3Pを決め返し、50-42とリードしたまま4Qへ。そこから三井住友銀行は4連続得点を挙げ、51-50と一気に逆転に成功。互いに譲らない時間帯が続くまま残り2分、56-56同点。その後のたったワンプレイで、この試合の勝敗が分かれた。残り58秒、日立金属#3宇佐美選手が、一気に点差を引き離す3Pバスケットカウントの4点プレイをねじ込む。焦る三井住友銀行のシュートは決まらず。逆にフリースローで得点を重ねた日立金属が64-57で上回り、13年ぶりの頂点に返り咲いた。
来年は北海道札幌にて開催される。
高松宮記念杯 第46回全日本実業団バスケットボール選手権 最終結果
- 男子
【優 勝】日立金属(13年ぶり3回目 ※日立電線含む)
【準優勝】三井住友銀行
【第3位】日本無線、九州電力
【MVP】日立金属#3 宇佐美 勝也(初)
【敢闘賞】三井住友銀行#92 小松 昌弘(初) - 女子
【優 勝】秋田銀行(2年連続8回目)
【準優勝】山形銀行
【第3位】東京海上日動、鶴屋百貨店
【MVP】秋田銀行#8 金 吏子(初)
【敢闘賞】山形銀行#12 宮崎 優子(初)
全日本実業団バスケットボール選手権大会の試合結果はオフィシャルサイトにて
3月上旬発売を予定しているバスケットボール スピリッツ次号では全日本実業団バスケットボール選手権特集をし、選手たちの声などを掲載予定。