20歳の岡田侑大がシーホース三河のユニフォームを身に付けBリーグデビューを飾ったのは昨年の11月16日。拓殖大を中退し、覚悟を持って選んだプロの道だった。東山高校時代から次代のホープとして注目を集め、“1年生エース”となった拓殖大学ではチームを31年ぶりのリーグ優勝に牽引。キレのあるドライブとミドルレンジからの高確率シュートを武器に2年次のリーグ戦で58得点という驚異的な数字も残している。さらに彼のもう1つの武器と言えるのはどんな場面でも臆することない“度胸の良さ”だろう。大学から場所を移したBリーグでは当然のごとく全てのレベルがアップしたが、ゴールに向かう岡田のプレーにためらいはない。「あの強気がいいよね」と語る鈴木貴美一ヘッドコーチの顔からも思わず笑みがこぼれ、「まだ課題は多いですけど、ハートが強いのは彼の大きな長所。これからもっともっと伸びていける選手だと思っています」と、高い評価を示した。
その期待に応えるかのように岡田は試合を追うごとに着実な成長を見せる。デビュー戦(対名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)では2分14秒だったプレータイムを3戦目となる秋田ノーザンハピネッツ戦では22分に延ばし9得点をマーク。年が明けて1月27日の琉球ゴールデンキングス戦では32分18秒コートに立ち15得点を稼いで2点差勝利に貢献した。初めて先発メンバーに起用されたのは3月2日の横浜ビー・コルセアーズ戦。三河はエースの金丸晃輔を故障で欠く苦しい展開だったが、その穴を埋めるべくチームハイの18得点を挙げ存在感を見せつけた。それ以後はチームの浮沈を握るピースの1人となり、残したスタッツは、40試合出場(内20試合先発出場)、平均得点10.3、フィールドゴール成功率46.3%、3Pシュート成功率40.7%。数字だけ見てもリーグ途中から加入した20歳のルーキーとは思えぬ活躍だったと言えるだろう。昨シーズンの三河は比江島慎、橋本竜馬など主力選手の移籍もあり苦しい戦いを余儀なくされたが、その中にあって岡田の“攻め気”がチームを救った場面は少なくなかった。与えたインパクト、貢献度からして文句なしの新人王。先の鈴木ヘッドコーチのことばにもあるように、フィジカル面、ディフェンス面などまだ課題は多いが、それをクリアしつつ稀有なスコアラーとしてどこまで伸びていくのか楽しみは尽きない。
映像提供:バスケットLIVE
文 松原貴実
写真 安井麻実