part2より続く
一生懸命、楽しんだ先に結果はある
大学の同期に恵まれ、周囲にも支えられながら人間の幅を広げた渡部友里奈だが、むろんプレーヤーとしても大学時代に“眠っていた”才能を呼び覚ましている。
「大学2年生までは得点を取ることがあまり好きじゃないというか、どちらかというとアシストのほうが好きで、そうしたプレーをメインにしていたんです。でも大学3年生になったときにチームの得点力が一気に落ちてしまって、児玉(茂)監督から『お前が得点を取りにいかないとダメだ』と言われ、4年生のときにもアドバイザーとして指導してくれた荒(順一・元日本代表ヘッドコーチ)さんが『千葉(歩・新潟アルビレックスBBラビッツ)と2人が得点を取るんだよ』と言ってくださって、そこから自分の中で得点にこだわるようになったんです。20点前半じゃ少ないと思うようになったし、毎試合30点くらいとれるように意識しながらやっていました」
プレーメーカーからスコアラーへ――けっして簡単ではない転身だが、渡部は意を決し、自主練習を通して自身を変えていく。
「大学はすごく時間があるんです。4年生になると授業が1日ない……というか、ゼミだけになるので、週6日授業がないんです。でも、だからといって寝て、起きて、ご飯食べて、チーム練習をして……それだけだとすごく時間がもったいないなと思って、平日はほぼ毎日、朝の6時に体育館に行っていました。大学の体育館がその時間から開くんですけど、チームの朝練が始まるまでの1時間半、ハンドリングとか、コーンを置いたワークアウトを自分でしていました。途中から1年生が『一緒にやりたい』と言ってきて、そこから何人かが加わったり、来られなくなったりしたんですけど、そういうのをやって少しずつハンドリングがよくなってきたんです」
持ち前のクイックネスに、自主練習で磨いたハンドリングが加わり、さらにゴールに向かう意識を自らが持つことでスコアを重ね、渡部はチームをけん引する存在へと変わっていったのである。
今春、専修大学を卒業した渡部はデンソーに入社し、同社女子バスケット部・アイリスの一員としてバスケットにより集中できる環境に身を置いている。
デンソーを選んだ理由として、大学3年生のときに見た皇后杯での試合が忘れられないと渡部は言う。ピック&ロールを多用している試合を見て「デンソーに行きたい」って思うようになったのだと明かす。