※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年7月末発行vol.23からの転載
それぞれのポジションからベストプレーヤーを選ぶのは非常に難しい。どこにフォーカスするかによって浮かぶ顔が違ってくるからだ。そこで今回はスタッツの数字を参考にしながらも『それを上回るインパクトを残した選手』を選考基準にした。当然、チームの勝利にどれくらい貢献できたか?も選出の条件になる。この結果を見て「私なら〇〇選手を選ぶ」「自分は絶対〇〇選手だと思う」という声が挙がるのは想定内。いや、むしろこれを機会に今一度昨シーズンを振り返っていただけたらうれしい。白熱した試合、わくわくした瞬間、応援したくなったあの選手、あのチーム…みんなが思い出に胸躍らせている間にも新しいシーズンの開幕は刻一刻と近づいている。
PG:橋本竜馬(シーホース三河)
シーホース三河に在籍して7年、チームを知り尽くした司令塔としての安定感が際立つ。比江島慎、金丸晃輔、桜木ジェイアールといったタレントが揃った三河では「まず、彼らの持ち味をどう生かすかを考える」と言うが、必要とあらば自らが積極的に攻めることも忘れない。が、なんといっても橋本の持ち味は、粘り強いディフェンスや食らいつくルーズボールで見せる圧倒的な熱量だろう。「自分の長所はあきらめないこと。どれだけ点差があっても試合終了のブザーが鳴るまで決してあきらめません」ということばはコートの上の橋本とピタリと重なる。リーグ優勝は叶わなかったが、『勝たせる司令塔』として貫いた姿勢は高く評価できるものだった。
SG:田中大貴(アルバルク東京)
優れた判断力を持つオールラウンドプレーヤーとしてルーキーシーズンから『エース』の名を背負ってきた田中だが、「よりアグレッシブなプレー」を自分に課した4年目はさらなる進化が見て取れた。定評のあるディフェンスはもとより、オフェンスではピックを巧みに使って得点を演出したかと思うと、勝負どころの1本を高確率で沈める。さらに前年を大きく上回った(平均2.7本→5.1本)アシストも光った。常々「まだ自分はチームを優勝に導けていない」と語っていた田中が、ようやく手にしたリーグ優勝。寡黙なイメージが一変し、これまでになく饒舌になった優勝後のインタビューからエースとしての仕事を成し遂げた大きな喜びと安堵が伝わってきた。