Bリーグが誕生して3年。リーグ発足時にプロ選手としてデビューした選手たちはいわばBリーグと同い年だ。Bリーグとともにプロのキャリアを積んできた彼らを訪ね、コートに立つ“今”と歩んできた道のりについて話を聞いた。
橋本晃佑の栃木ブレックス入りが発表されたのは東海大4年生の秋。NBL最後の年であり、呼び名は『アーリーエントリー選手』だった。Bリーグ開幕とともに203cmの大型ルーキーとして注目を集めるが、シーズン最後の試合で左膝前十字靭帯断裂という大ケガを負い約1年のリハビリ生活を余儀なくされる。再びコートに復帰したのは2018年2月。3年目となる今シーズンは徐々にプレータイムも延び、周囲の期待も高まりつつある。今の心境を尋ねると「バスケットができることが素直に嬉しい。プレーすることがほんとに楽しいです」と、弾んだ声が返ってきた。
「スポーツは何をやっても全然ダメな子どもでした」
橋本は現在の栃木ブレックスの中で唯一地元出身の選手だ。栃木県日光市で生まれ、4人兄弟の末っ子として育った。
「姉、兄、兄、僕の順です。姉は170cm以上あるし、2人の兄も180cm台後半ぐらいある。田舎だし、いっしょに歩けば目立ちますね(笑)。けど、僕は背が高いだけでスポーツは苦手でした。野球やサッカーも全然ダメな子でしたね。もしバスケに出会っていなかったら、きっとスポーツとは無縁の人生を送っていたと思います」
バスケットを始めたきっかけはやはり身長が高かったから。「小学3年生で158cmぐらいあったかな。姉がバスケをやっていたので、他のスポーツに比べてバスケはわりと身近な感じだったんですが、それでも最初は(クラブに入ることに)あまり気乗りしませんでした。でも、とりあえず体験入部してみろよと勧められて、練習に行ったらゴール下で立ってるだけでいいからと言われて(笑)」
が、シュートを教えてもらうようになると、俄然バスケットがおもしろくなった。練習開始の1時間前には体育館に行きシュート練習に励む日々。
「シュートが決まる快感を知ってから一気にバスケにハマりましたね。身長も1年ごとに10cmぐらいずつ伸びてたし、中学でもバスケを続けようと思うようになりました。ところが、僕が通う学区の中学にはバスケット部がなくて、こうなったらバスケット部がある中学に越境入学するしかないってことになって。そっちの学区に親戚がいたので、その住所を借りて入学しました。あんなにスポーツは苦手で全く興味もなかった自分が越境してまでバスケットを続けたいと思うようになるなんて、今思っても嘘みたいですね。ほんと、人生は不思議です(笑)」