「本当に今は楽しいですね」
笑顔でそう連発するのは、今シーズンから三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋へ移籍した朝山正悟だ。話を聞いたのは、2013年11月14日(木)に行われたつくばロボッツ戦に、三菱電機名古屋が83-65で勝利した後のこと。
「メンバーもベテランから若手までバランスが良く、なかなか他のチームには無いほど揃っていると思っています」と朝山が胸を張るほど三菱名古屋のロスターは確かに粒ぞろいである。しかし、NBLウエスタンカンファレンスでは11月17日現在3位。アイシンシーホース三河以外はJBL2から上がって来たチームと新規チームゆえに、もっと余裕で勝っていても良いのではないかとさえ思ってしまう。「新規チームに負けてはいけない雰囲気があり、周りからもそのように言われることもあります。でも、同じ舞台に立ってるチームですし、相手も必死。なかなか思うようにはいかないです」
5チームを渡り歩いた経験
日立サンロッカーズ(現日立サンロッカーズ東京)から朝山のキャリアはスタートした。1チームを全うする選手も少なくなく、あっても1〜2度の移籍程度で現役を全うするのが大多数の日本人選手だが、朝山は今シーズンやって来た三菱電機名古屋ですでに5チーム目。多くのチームで様々な経験を積んで来た朝山の加入に対し、シーズン前、チームメイトの鵜澤潤はこんな話をしていた。
「優勝回数も多く、いろんなチームを見てきた朝山とは同期ということもあり、話す時間は長いです。彼が経験したことは僕が知らないことも多く、その中には辛いことも良いこともあり、このチームに何が必要なのかをキャプテンである僕に伝えてくれます。彼が入って来たことは僕にとって、ものすごく大きな存在です」
常勝軍団アイシン三河から、最下位争いを続けて来た三菱電機名古屋へ移籍。「アイシンは完成されたチームであり、より高い質を求めて、その地位を維持することだけを求められてきました。佐古(賢一)さんら先輩たちが何年間もかけて築き上げてきたものをベースにしながらも、後輩たちが同じように高い質を維持し、それがチームとして浸透していったものがあります。アイシンでは、その高い質のバスケが構築されたところに僕が行っただけのこと。でも今は、みんなでゼロから作り上げている楽しさがあります。僕は移籍も多かったので、これまで得た経験をこのチームに話したりすることもすごく楽しいですし、今はすごく良いですね」