日本が歴史的な勝利をあげた。
ワールドカップ・アジア地区予選の第1ラウンド。世界ランキング10位のオーストラリアをホームに迎えたWindow3で日本(世界ランキング48位)は【79-78】でオーストラリアを下し、第1ラウンド初勝利を挙げた。オーストラリアは、アジア地区に組み込まれて以来、初の黒星となる。
この勝利で通算成績を1勝4敗とした日本は、7月2日にチャイニーズ・タイペイでおこなわれる第1ラウンドの最終戦(チャイニーズ・タイペイ戦)で勝利すれば、第2ラウンド進出が決まる。
オーストラリア戦で日本はニック・ファジーカスが25得点・12リバウンド、八村塁が24得点、比江島慎は6得点に留まったが、8リバウンド・6アシストとオールラウンドに活躍した。
ここでは試合に出場した選手のみを対象として、S,A,B,C,Dの5段段階評価。バスケ専門メディア各社のコメントを交えてお届けする。
#2 富樫勇樹
評価:C @Masataka_Taira
フィジカルに勝るオーストラリア相手に良い所がなかった。ハーフコートでかき回しながら、自らシュートを決めることでリズムに乗るというBリーグでの戦い方とは違った役割の中、富樫選手らしさを今の日本代表のオフェンスシステムの中でどこまで出せるのかが、これからの鍵だと感じる。個人的な意見としては、シックスマンとして流れを変える役割の富樫選手も見てみたい。
評価:B @marknbafan
篠山選手のプレータイムが伸びたので、バックアップ的な役割とミニッツになってしまった。出場時間18分で4アシストは悪くはない。ターンオーバーも1に抑え、ボール運びと供給という仕事はこなしたように感じた。個人的にはプルアップの3ポイントシュートをもっと打つ状況が見たい。
評価:C @BBSpirits
今夜は彼の良さが完全に消えていた。4つのアシストは彼の中では普通か、少し低いレベル。クイックネスを生かすこともなく、アウトサイドシュートの精度も欠いた。これを薬にチャイニーズ・タイペイ戦での爆発を期待する。
評価:C @flymagazine
先発ポイントカードとしてチームの勝利に貢献したのは間違いないが、富樫選手の持ち味を出しきれなかったのも事実。ディフェンスでのディスアドバンテージを吹き飛ばすような思い切りの良いフローター、3ポイントシュート、アリウープパス、もっと流れを引き寄せるプレーが見たかった。
評価:C @basket_count
ピック&ロールから自らシュートを打つパターンを作れず。フローターもリングに嫌われた。シュートが入らないと、ディフェンス面でサイズの弱点が出てくる。大きな相手をスピードで振り回す、縦に割っていく突破の試みが見られなかったのは残念。それでも評価を決定的に落とすものではなく、次に期待。
#3 辻直人
評価:D @Masataka_Taira
台湾での素晴らしい活躍を見せていた辻選手はどこに行ってしまったのだろうか? 現在のロスターでNo.1のシューターである彼がシュートを打たないことには評価のしようがない。多少無理してでもアウトサイドを打ち切るという姿勢がこの試合では見れなかったことが残念。これが豪州のフィジカルプレッシャーなのかもしれない。次の台湾戦でのリベンジに期待。
評価:C @marknbafan
たった6分の出場(馬場が怪我でベンチにいた時間帯)だったが、3ポイントシュートを狙う状況がなさすぎた。自分で0度から打つタイミングも、ジャンプパスからターンオーバーしてしまいリズムに乗れなかった。もっと自分のシュートを探す動きが本人からも、チームとしても必要だと感じる。
評価:B @BBSpirits
馬場選手の負傷で急遽コートに入り、いきなりフリースローを打つことになったが、それをしっかり2本決めたことはシューターとしての面目躍如。それが結果的に勝利に結びついたと言えなくもない。欲を言えば1本だけ打った3ポイントシュートを沈めてほしかった。
評価:B @flymagazine
最終スコアを考えると、馬場選手の代役でコートイン早々フリースロー2本をしっかりと決めたのは重要な仕事を果たしたと言える。06:30という少ないプレーイングタイムで評価するのは難しいが、辻選手には期待してしまう。何も恐れずにとにかく打ち切って欲しい。
評価:C @basket_count
逆転された後、足を痛めた馬場選手との交代で急遽投入され、そこでフリースロー2本をきっちり決める落ち着きはさすが。しかし、その後に打てるシーンで躊躇してしまったのは残念。オーストラリアが打ちまくっては外しまくる展開、誰の3ポイントシュートも入らない日だったと割り切りたい。
#6 比江島慎
評価:B @Masataka_Taira
比江島選手としては大人しい6得点だが、8リバウンド、6アシストと変わらないオールラウンダーな活躍。ファジーカスとのピック&ロールから、ヘジテーションで相手を交わしたシーンは鳥肌モノのムーブだった。やはり比江島選手はスタートとして出るべき選手。
評価:B @marknbafan
6得点では日本のエースとは呼べないが、ヘジテーションから侵入したりピックをリジェクトしたりとハンドラーとしてはかなり有効だった。ところどころの上手さは世界レベル。その技術がもっと得点に繋がるシーンが見たい。
評価:A @BBSpirits
得点の6は少々物足りないが、8リバウンド、6アシストはいい仕事をしたと言える。「想像していたよりフィジカルでぶつけてこなかった」とは言うが、NBA屈指のディフェンダーであるデラベドバ選手の守備に怯まず、アタックし続けたことは彼の進化を証明するもの。
評価:A @flymagazine
非凡なヘジテーションで相手を翻弄しチーム最多の6ASと、オフェンスリバウンド3本を含む8リバウンドで攻守の要所をしっかりと押さえた。これまでは一人でオフェンスを牽引して第4クォーターにガス欠というパターンが多かったが、強力なスコアラーを得た今さらに覚醒しそう。
評価:S @basket_count
全部自分でやる必要がなくなり、ディフェンスに軸足を置いた。実際、ゾーン多用でフィジカルで運動量の多いタスクをばっちりこなしている。それでも魅力はやはりオフェンス。逆転された後、これまでの日本なら一気に置いて行かれる場面で比江島タイムが発動。『日本のエース』であることを証明した。
#7 篠山竜青
評価:S @Masataka_Taira
この試合、影の殊勲賞は篠山選手にあげたい。ディフェンスでの気迫、ボールへの執着、どれを取っても代表試合において過去最高の出来だった。第4クォーターの攻守に渡る活躍だけでもS評価に値する。NBA選手相手にもフィジカル負けしないようなコンタクトが素晴らしかった。最後のマイクパフォーマンスも素晴らしかった!
評価:S @marknbafan
ボール運びは相変わらずドキドキするが、それ以外では素晴らしかった。ハードなディフェンスとハッスル。最後のレイアップも最高だった。チームのエネルギーをグッと上げたし、文句なしのSパフォーマンス!
評価:A @BBSpirits
限りなくS評価に近いA評価。厳しいディフェンスで相手にリズムを掴ませず、オフェンスでも冷静にゲームをコントロール。隙を見てアタックしたり、最終盤の速攻も逃げずにシュートに行ったのは大きかった。最終盤の速攻について。「ファンの声援が後押ししてくれた」と篠山節。
評価:A @flymagazine
ディフェンスでは率先してトップから激しいプレッシャーを絶え間なくかけていき、相手攻撃のリズムを崩した。司令塔としてはベンチメンバー時にチーム力が落ちていた今までの日本の姿を変え第4クォーターの最後を任された。バックアップとしての役割を全うした。
評価:A @basket_count
デラベドバのプレッシャーに押されず、打開できなくてもゲームメークを遂行した。目立ったのはディフェンスで、惜しいシュートを決めきれなかった直後の相手の攻めで人一倍奮闘。「シュートが入らない時こそディフェンスで踏ん張る」を体現する働き。そのご褒美が最後のワンマン速攻。お見事!
#15 竹内譲次
評価:A @Masataka_Taira
八村選手&ファジーカス選手が加わった以降の活躍は素晴らしいの一言。攻め気が非常に増した印象で、ミドルシュートを打たずにゴールにアタックするシーンが多く見られた。6得点5リバウンド4アシスト2ブロックと、強豪オーストラリア相手に臆することなくプレイをしたことで、さらなる活躍が期待される。
評価:S @marknbafan
メイカーにかなりやられると予想していただけに、ディフェンスとリバウンドと最高の仕事をした。速攻でも積極的にステップスルーからレイアップに行ったり、エルボーからはっきりとしたアタックを見せたりと相手としては「めんどくさい」プレイヤーとして活躍した。彼はニック選手と八村選手が来て、一歩下がった上で自分のロールをしっかりと見つけた。素晴らしい。
評価:A @BBSpirits
八村選手のバックアップに回ったが、その仕事ぶりはスタメンのとき以上に輝いていた。5リバウンドと2つのブロックショット、そして何より、ついに206㎝の高さを生かしたアグレッシブな攻撃が見えた。第3クォーターの最後に見せたファジーカスへのアシストは素晴らしかった!
評価:A @flymagazine
積極的にリムにアタックするアグレッシブなプレーで6得点を奪い、4アシストで攻撃の起点となるとディフェンスでも2ブロックを記録。八村選手、ファジーカス選手のバックアップとしてインサイドのローテンションの役目をしっかり果たし数字以上の存在感を示した。
評価:A @basket_count
八村選手やファジーカス選手とプレータイムを争う状況が刺激になっているのは間違いなく、10歳若返った印象。ただ、ディフェンスでの活躍は驚かないが、オフェンスが止まった時に自分で割って入っていくアタックには驚いた。特にユーロステップ!(次は決めてください)
#18 馬場雄大
評価:A @Masataka_Taira
馬場選手の素晴らしさは、何と言ってもその豊富な運動量。2-3のゾーンディフェンスにおいても彼のポジショニングはオーストラリアにとっては攻めにくい要因の一つだっただろう。リバウンドやルーズボールに飛び込む球際の強さも素晴らしい。怪我にヒヤッとしたが、台湾戦でもアスレチックな活躍に期待したい。
評価:A @marknbafan
「和製コーリー・ブリューワー」と呼ばせてもらっているが、トランジション、スティール、リバウンド、ブロック、そしてドライブインからファールと今の代表には無くて、かつ必要なダイナミックプレーを生み出してくれる。最高の意味で「無心で一生懸命な」馬場のプレーは予測不可能で相手の脅威となっていた。
評価:A @BBSpirits
積極的なアタックもさることながら、リバウンドやルーズボールによく顔を出していたのが好印象。結果的に取れなくても、彼の跳躍力を生かしたリバウンド参加は相手に余裕を持たせない効力がある。終盤、比江島選手のドライブにバックカットで合わせた冷静さも評価アップの要因。
評価:A @flymagazine
試合ごとに成長し続けるスウィングマンはフィールドゴール率100%で8得点を挙げた。常にチームの先頭を走る機動力は数字には表れないチャンスを幾度となくメイク。もはやチームには欠かせないポジティブプレーヤーとしてエナジー全開。
評価:A @basket_count
オーストラリアを相手にしても臆するところがないのはこの世代の特徴にして最大の武器か。第3クォーター途中、試合を通じて一番苦しいところでドライブに行きファウルもらうプレー、トランジションで仕掛けてアンスポを誘発したシーンは特筆すべき馬場の個人能力。ケガが大事に至らず何より。
#22 ニック・ファジーカス
評価:A @Masataka_Taira
誰が相手でも、どのチームでも変わらないパフォーマンスを発揮する頼れる男。25得点12リバウンドという数字もさることながら、ゴール下でリバウンド争いに絡むことで相手のセカンドチャンスをいくつも消していたことが、接戦を物にするにあたって非常に大きかったと思う。3ポイントシュートも3本中2本成功と高確率だったことも◎。
評価:A @marknbafan
彼のディフェンスのモビリティーの無さはゾーンディフェンスによって完全に消された。あとはゴール付近と3ポイントシュートを正確に決めるだけ。放り投げてるように見えてるシュートは見慣れたBリーグファンにとってはレイアップ以上の正確性である。あのオーストラリアに対しても25点11リバウンドはあっぱれとしか言いようがない。
評価:S @BBSpirits
第3クォーター、オーストラリアに逆転を許し、すぐに辻選手のフリースローで追いついた後、相手を突き放す連続得点。ここぞで得点を獲れる彼が入ってきた最大のメリット。またリバウンド争いで相手と競り合い、そこでティップアウトすることなくキャッチできるのも、日本にとって大きなプラスになった。
評価:S @flymagazine
フィジカルな当たりにも崩れないシュートで日本の嫌な流れを何度も救い、懸命にディフェンスに戻る姿には感動すら覚えた。25得点11リバウンドと大一番で期待通りの働きを見せアップセットの立役者となった。彼の帰化を支援した全ての人に感謝したい。
評価:S @basket_count
立ち上がりはボールが手に付かず、珍しく気負いすぎの印象。そんな時間帯もリバウンドできっちりと貢献し、第2クォーターの連続3ポイントシュートで自分でシュートタッチを調整。シュートレンジの広さが魅力と言われるが、強烈なプレッシャーを受けてもゴール下で簡単に決める能力が目立った。
#23 八村塁
評価:A @Masataka_Taira
強化試合の韓国戦よりも1段階ギアを上げてきたという印象。サイズのあるオーストラリアに対して、攻守の両面で全く引けを取らずにプレイしていたことは、アメリカで揉まれているだけあってさすがの一言。前半はまさにドミネイトしていた。ノーマークシュートをもっと決めてほしかったという期待値を込めてのA評価。
評価:S @marknbafan
第1クォーターは外のシュートを中心に、その後はディフェンスとリバウンド、プットバックに徹底。勝つために必要な事を全てやってくれた。彼がいる日本代表は強い。
評価:S @BBSpirits
24得点もさることながら、ペイントエリア内で屈強なオージーたちと互角に戦ってくれたことは、今後の日本にとって大きな意味を持つ。試合後、オージーのフィジカルについて「NCAAのほうがもう少し強い」。だから怯まなかったのか……使いたくないけど、八村、半端ない!
評価:S @flymagazine
24得点のうち第1クォーターで奪った13得点で日本は完全に勢いに乗ることができた。メイカー等NBA選手が鎮座するオーストラリアのインサイド陣に臆することなく常に1ON1を狙う姿勢で歴史的な勝利に貢献。彼の加入で日本代表の全てが変わったと言っても過言ではない。
評価:S @basket_count
オーストラリアがアジアで突出しているチームであっても、八村選手はそれを上回った。韓国との強化試合ではファジーカスと攻めの場面でスペースが重なるのが気になったが、この試合では解消。ゲームメークできない時のボールの預けどころにもなった。もうNBAに行ける、NBAで十分やれる!
#24 田中大貴
評価:B @Masataka_Taira
強化試合の2試合は怪我で欠場だったが、2月ぶりの代表戦で変わらず安定的な活躍を見せてくれた。彼が入るとディフェンス面での強度がアップする。球際の飛び込み等、これまでの試合よりもさらにハッスルしていた印象。欲を言えば、もっともっとオフェンスに絡んで得点を狙いに行ってほしい選手。
評価:C @marknbafan
ディフェンスに関してはパスカットしたりオフボールでのヘルプの意識が高かった。比江島選手、ニック選手、八村選手とタッチが多い選手に比べて圧倒的にオフェンスに絡む回数が少なかった。チャンスは有ると思うので次戦に期待。
評価:B @BBSpirits
序盤こそ1対1からのジャンプシュートや果敢なアタックも見られたが、後半の大事な時間で沈黙。ディフェンスの貢献はさすがだが、オフェンスでもう少し顔を出してほしかった。
評価:C @flymagazine
ケガから復帰した田中選手はコンディション万全ではなかったかもしれない。ディフェンスで光るものはあったが第1クォーターで果敢なドライブを決めた以降フィールドゴール7本中1本成功で4得点と完全に失速。格上相手にもぎ取った1勝を自信に変えて次戦での復調に期待したい。
評価:B @basket_count
スタッツは寂しいが、常に足を動かしてチームを支えていたし、機能したとは言えないピック&ロールからクリエイトし続けようという意図は感じられた。Bリーグチャンピオンシップでのケガの影響はまだあった様子。それでも25分のプレータイムは、その遂行力に対する指揮官の信頼の証。
文・三上太 写真・安井麻実