3ステージ制のB3リーグは、ファーストステージとレギュラーシーズンを制した東京八王子トレインズがシーズンランキング1位(8ポイント)に立っている。その八王子を1.5ポイント差で追うのがB2から降格した東京エクセレンス(6.5ポイント)、3位は唯一企業チームでありながらフル参戦する大塚商会アルファーズ(5.5ポイント)と続く。3月23日、さいたまスーパーアリーナで行われた埼玉ブロンコスvs東京EXからファイナルステージが開幕した。
オリンピック会場を身近に感じさせる第一歩
あのさいたまスーパーアリーナだが、メインアリーナではなくコミュニティアリーナが開幕戦の舞台である。普段は展示会などで使用されるが、2006年世界選手権のときはここが練習会場であり、アメリカ代表や優勝したスペイン代表のガソル兄弟などNBA選手たちが同じ空間にいた。会場入口には世界選手権のメモリアルコーナーも常設されているとともに、2020年ふたたびここに世界一を決める大会がやってくる。
ご存じのとおり、さいたまスーパーアリーナは東京オリンピックの舞台であり、埼玉こそバスケが盛り上がらないといけない。このアリーナを身近に感じられるようにするためにも、コミュニティアリーナとはいえ頻繁に活用されるべきである。今はB3に甘んじている埼玉だが、B2、B1へとステップアップすることがその近道となる。
選手のモチベーションを上げたさいたまスーパーアリーナ
「観客と会場の力を借りてアタックして行こう」
アリーナの雰囲気にモチベーションを高く持って臨んだ埼玉の上田雅也選手は、第1クォーターから9点を挙げていき、23-12と埼玉が大きくリードを奪った。対する東京EXは、これまでとは異なるディフェンスで後手に回ったと宮田諭選手は振り返る。すぐさま元に戻し、埼玉の起点となるガード陣の上田選手と高橋幸大選手のマークを厳しくすると落ち着きを取り戻していく。
34-28、東京EXが6点を追いかけてはじまった第3クォーター。立ち上がりからジョーダン・フェイゾン選手、齋藤豊選手、さらに宮田選手の3連続3Pシュートが決まって1点差に迫る。続く齋藤選手の得点で38-39と東京EXがこの試合はじめてリードを奪った。「ディフェンスがチームの強み」に挙げた宮田選手がプレッシャーをかけ、ジャスティン・ヘラルド選手らがしっかりリバウンドを獲って流れに乗る。11点ビハインドを背負っていた東京EXが、終わってみれば58-71と13点差をつけて逆転優勝へ向けて、開幕戦を勝利で飾った。
ディフェンスを戻した東京EXに対し、第2〜3ピリオドの上田選手は2点しか決められていない。「対応されたあと、もっともっとアジャストしていかなければならない」と反省点を挙げた。追う展開となった第4クォーター、積極的なプレーを取り戻したことで最終的には15点とチームハイの活躍であり、次戦に期待したい。
『育ててくれた埼玉でB2、B1と上がっていきたい』#0上田雅也
立命館大学から埼玉に入団し、3シーズン目となる上田選手。「ベンチでヘッドコーチが考えることがコート上で出せるようにだいぶなってきました」とコリアー・セントクレアヘッドコーチとのコミュニケーションが円滑になったことでチームは上向きはじめている。
上田選手が埼玉でプロのキャリアを歩き始めたときはbjリーグラストシーズンであり、5勝しかできなかった。今、B3とはいえ、昨シーズンの16勝(36敗)を大きく上回る25勝(18敗)をすでに挙げている。結果だけを見れば上向いている状況だが、「目標が優勝なので、勝ち星があるから喜ぶことはない」と気を引き締め、ファイナルステージに臨む。
大学時代に関西リーグでしのぎを削り合った合田怜選手(大阪エヴェッサ)や渡邊翔太選手(島根スサノオマジック)は、B1の舞台にいる。「彼らが活躍してくれていることがうれしいです。しっかり追いつこう、がんばって追い越そうと思っています」と話すとともに、目標は「育ててくれた埼玉でB2、B1と上がっていきたい」。
すでに埼玉はB2ライセンスを手に入れた。だが、現在のランキングは4位(4.5ポイント)。八王子とは3.5ポイント差をつけられており、ファイナルステージを制しても4ポイントしか上乗せできず、自力優勝はない厳しい状況だ。
「スタッフと会社は準備を整えてくれているので、あとは勝つだけ。そのためにも選手ががんばるべきであり、チームとして諦めずに戦っていきたいです」
埼玉を盛り上げることも大きな使命であり、本日3月24日(土)16:00より行われるさいたまスーパーアリーナ(コミュニティアリーナ/入口は1F)での第2戦での勝利を目指す。
文・写真 泉 誠一