8月31日、絶対に負けられないオーストラリア戦を2-0で勝利。サムライブルーがワールドカップ出場を決め、日本は歓喜に沸いた──
同時刻、東京体育館でも日本vsオーストラリア戦が行われていた。こちらの結果は69-70、惜しくも1点差で敗れている。
2020年パラリンピックへ向けた強化プロジェクトの一環として、男子車椅子バスケットボール日本代表が世界トップクラスの3チームに挑む「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2017」が昨日より開幕した。昨年のリオパラリンピックで銅メダルを獲得したイギリスをはじめ、同4位のトルコ、同6位のオーストラリアとリーグ戦を行い、明日9月2日(土)の最終日には順位決定戦(決勝 / 3位決定戦)が待っている。
リオパラリンピックでは6位に掲げた目標には届かず、9位に終わった日本代表。続投した及川晋平ヘッドコーチが積み上げてきた「ベーシックス」に加え、今年6月に行われたU23世界選手権で世界4位に導いた京谷和幸アシスタントコーチ(U23日本代表ヘッドコーチ)が徹底させた「トランジションバスケット」を融合させながら、3年後はもちろんメダル獲得が期待される。
それに向かっての第一歩となる「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2017」は2日目、第2戦のトルコ戦が先ほど行われた。3クォーターまでは拮抗した展開だったが、ラストの4クォーターで一気に引き離し、65-49で快勝。及川ヘッドコーチは「後半の戦い方にフォーカスし、その時間帯に抜け出せたことでチームは一歩前進した」と練習の成果を出すことができた。
トランジションバスケットを出すために必要なリバウンドでも、41-38本と上回ったことが大きな勝因である。26点を挙げたエースの#55香西宏昭選手、3クォーターに3連続得点で一気にリードを開いた#13藤本怜央選手は12点、8リバウンドとチームを引っ張った。国内では次々と3Pシュートを決める#4土子大輔選手だが、日本代表では役割が変わり、ポイントゲッターたちに気持ち良くシュートを打たせるために身体を張る。しかし後半、このチームのテーマのひとつである「アグレッシブ」さを発揮し、8点を挙げ、勢いに乗せた。また、新戦力のビッグマン#25秋田 啓選手は10分強のプレイタイムで8点、7リバウンドと効率良く活躍しており、注目である。ベテランと若手がうまくかみ合って勝利をつかみ、これで1勝1敗とした。
本日は各国2連戦となり、17:30からトルコvsオーストラリア、そして19:35より我らが日本代表がイギリスと対戦する。#13藤本選手は、「リオデジャネイロオリンピックでは、タフな試合を勝ち抜いて銅メダルを獲った強豪。しかし、日本のバスケットが通用する部分もあり、そこを皆さんにお見せしたい。決勝に向かうためには勝つしかない」とイギリス戦へ向けて意気込みを語り、金星を目指す。
今大会は観戦無料(※一部アリーナ席有料)となっているので、学校や仕事を終えたお近くの方はぜひ東京体育館に足を運んでいただき、パラリンピックと同じ興奮を今から味わって欲しい。
■8月31日(木)
イギリス ○71-37● トルコ
日本 ●69-70○ オーストラリア
■9月1日(金)
17:30〜 トルコ vs オーストラリア
19:35〜 日本 vs イギリス ※CS日テレジータスで放送
■9月2日(土)
10:30〜 順位決定戦(決勝 or 3決)
14:10〜 順位決定戦(日本戦:決勝 or 3決)※BS日テレで生中継
男子車椅子バスケットボール日本代表
#2 豊島 英(G/2.0)宮城MAX☆
#4 土子 大輔(PF/4.0)千葉ホークス☆
#5 鳥海 連志(G/2.5)パラ神奈川SC☆◎
#6 川原 凜(G/1.5)千葉ホークス◎
#7 古澤 拓也(PG/3.0)パラ神奈川SC◎
#13 藤本 怜央(C/4.5)宮城MAX☆
#15 斉藤 貴大(G/1.5)伊丹スーパーフェニックス
#18 永田 裕幸(G/2.0)埼玉ライオンズ☆
#24 村上 直広(F/4.0)伊丹スーパーフェニックス☆
#25 秋田 啓(C/3.5)岐阜シャイン
#55 香西 宏昭(SF/3.5)NO EXCUSE☆
#92 緋田 高大(G/1.0)LAKE SHIGA BBC◎
#背番号 名前(ポジション/持ち点)所属チーム
☆=2016リオパラリンピック出場
◎=2017U23世界選手権出場
文・写真 泉 誠一