11月26日(水)、FIBAからの回答がJBAに届いたことを受け、本日11月27日(木)に記者会見が行われ、丸尾 充会長職務代行がそれについて説明を行った。冒頭に選手やバスケ関係者に対するお詫びから始まった記者会見での内容を共有したい。
すでに皆様には昨日プレスリリースをさせていただきましたが、FIBAの制裁と言うことで国際活動への資格停止、タスクフォースチーム(任務部隊)を立ち上げて、FIBAと共同で解決に向かうという内容でございます。
正直申し上げて、資格停止の可能性は大変強いとは思っていました。そんな発言もさせていただいていましたが、現実にこうなったことに対して深く受け止めており、冒頭で選手の皆様にもお詫びを申し上げさせていただきました。なんとか早い解除が我々に与えられた最大の使命だと思っています。FIBAからいろいろと援助もいただけるとのことなので、制裁解除へ向けて取り組んでいきたい。
詳しい内容については、質問をいただきながらご説明していきます。大きな内容としては2つ。国際活動の禁止、それに向けたタスクフォースチーム(任務部隊)を結成される。しかし詳細は全く分かっておらず、制裁に対するFIBAからの通達が来た以降、具体的な国際試合はどこまでの範囲を言うのか、タスクフォースはいつ、どんなメンバーで何をするのかということについては現在確認中。明確になり次第、報告していく。
ー FIBAから制裁を下された今の思いは?
可能性は非常に高いと思っていたが、現実に制裁が下されたことに対しては本当に重く受け止めているとともに、それを解除するために具体的に取り組んでいかなければいけない思いでいっぱい。
ー冒頭で謝罪があったが、実際に選手へ向けた説明の場は設けるのか?
まだ、選手への説明の場を設けていません。機会があれば、そういう場を設定したいと思いますし、率直に選手からの思いなり、いろんな話を聞きたい。
ー選手たちへどのような言葉を伝えたいか?
国際ゲームということですので、日本代表活動がターゲットになるが、現状の代表選手だけではなく、日本代表になりたいとモチベーション高く持って取り組んでいるわけですから、そのモチベーションを落とさないように、我々はがんばらなければならない。ぜひ、選手の皆さんも、ある期間は(国際活動禁止)こういう条件になりますが、将来の日本のバスケットのためにがんばってもらいたい。
ー制裁解除へ向けて、すでに動き出していることは?
まずは制裁が下るタイミングや内容が一つの焦点だったが、それが明確になったことで、今朝から具体的な対応を含めて緊急に評議理事会を行い、推し進めている。具体的な内容をもっと確認していかねばならず、我々としてもやるべきことを含めてもっと深く議論していかねばならない。その第一歩として、臨時理事会を立ち上げてその準備に入っている。
ー2008年にリーグ統合を求められてから6年を経てもリーグ統合できず、制裁に至った理由とは?
2005年にbjリーグが独立した形でプロリーグができ、そこから物事がスタートしている。2008〜09年にFIBAから2リーグの併存状態に対し、好ましくないという指摘があった。それに対し、2009年から統合へ向けて活動を開始。それは2013年NBL立ち上げに向けてのスタートだったわけだが、結果的にbjリーグから1チームしか参加できなかった。その大きな原因として、一つはプロリーグというのが、bjリーグとしては大きな旗印であった。中身としてプロリーグの形であっても、外に向けて(プロリーグという)発信がJBAとしてできなかった。それ以外にもたくさんの理由はあるが、プロという概念や定義が当時はなかなか一致しなかったのが大きな要因。それを踏まえて今回、2度目のタイミングとして、今年の初めからスタートした。統合にあたってはリーグはプロリーグにするんだ、と協会として大きな旗を掲げさせてもらった。その点について、一つはクリアした。しかし、中身に関して参加要件等々で折り合いがつかないところがあり、時間が足りなかった。参加要件だけではなく、株式会社bjリーグの在り方も含めてなかなか一致できていない。しかし、2010年の時に比べたら中身の濃い話をさせてもらっており、7割近くまでは達している。もう少しのところだが、最後のところで折り合いがつかないところがまだある。
ーJBAのガバナンス、男子日本代表の強化、リーグ統合の3点がFIBAからの通達であったが、それぞれについて回答があったのか?
3項目について、それぞれの展開については出ていない。FIBAが求めていることに対して到達していないという回答だった。一点一点に関しての評価は来ていない。
ー統一プロリーグへ向けて7割まで来ているというが、残り3割はどれくらいの時間があれば到達できるのか?
ものの考え方が非常に大きく、テクニカルにやればできる話と思想や理念に関する違いがある。可能性として、話し合いの中で即決できることもあれば、なかなか折り合いがつかない部分がある。その点をもう少し詰めて話し合えば到達できたのではないかと思う。
例えば競技力の問題に関しては、どちらも競技力を上げていかなければならず、スタート時点は同じ。だが、到達の仕方としてエンターテインメントから入るのか、強化から入るのかという進め方の違いがあり、調整していかなければならない。
共通項目としては地域性を重視しており、地域から信頼や評価されるということは共通のテーマであり、一致している。NBLとbjリーグを比較すると、その目的に向かうにあたり、チケットをたくさん売ってお客さんと接していかなければないけないという点に対し、少し企業チームは疎かになっている。そういうところをどうやって解決していくか。抽象的であり、分かりにくい表現かもしれないが、ほんのちょっとした差の部分を表現させてもらった。
ー完全プロリーグ化という方向性は今後も変わらずに進められるのか?
今回はプロリーグとして、協会が立ち上げた。そもそも、なぜプロリーグの旗を上げたかを説明したい。
統一するためにプロリーグというのは、結果としてはbjリーグはプロリーグを標榜しているので必要な要件ではあった。2013年のフィリピンでのアジア選手権で日本の成績がアジア9位だった。それ以前から良い成績ではなかった。2013年の成績を見て、このままではいけない、プロリーグやプロ選手を作っていこうではないか、というのがプロリーグのスタート。協会そのもは1993年、約20年前から強化の一環としてプロリーグの必要性は取り上げてきたが、なかなか成就せず、挫折した歴史でもある。企業チームとの中でなかなか折り合いがつかなかった。それが今回は、プロリーグに対し、企業チームからも一定の理解は得られている。プロとはなにか?やっぱりバスケを生業にする、バスケでメシを食うんだ、というチームがそのための形に持って行き、その法人格にすることが非常に大きい要素となる。
Jリーグがプロになった参加要件も、法人格を持ち、それがプロであることに尽きる。それを今後も推し進めていく。いろんな要件があるにせよ、まずはそこが一つ大きな基盤になる。
ー日本の協会がIF(国際競技連盟=バスケであればFIBA)の力を借りて改革するというのはこれまで聞いたことが無いが、JBAとしての主体性が失われる恐れがあるが、どのように感じているか?
タスクフォースのメンバー構成や何をやるのかは全く今は分からない状態。FIBAに投げてることを待つだけではなく、こちらからも質問を投げているところ。その質問の中で、この答えは出てくること。本来は自国の中で解決することが再現である。だが、IFが今回言ってきたことは、FIBAそのものが定款をいろいろ変えて、ダイレクトに各国のNF(国内競技連盟)にいろんことを言える仕組み、IFの思想を浸透できるように変更した。その一環として、今回いろんな動きが出てきた。IFとしても、各国のバスケを盛んにさせるために、今後もいろんな意見はしていくことは起きてくる。IFの思想の変化の現れだと思う
ータスクフォースが来たことで、リーグ統合の話は進展するのか
正直、タスクフォースの中身が分からないと何とも言えないが、当事者で話し合っていても時間の問題もあり、なかなか成就しなかったことについてで、第3者のいろんな意見は非常に貴重な意見である。進展するのか、というよりもぜひ進展させたい。
ー資格停止が下された理由の具体的な違反内容とは?また、どれをクリアすれば解除されるのか?
分かりやすくリーグ統合の話が象徴的に出ているが、リーグ統合の話の元を正せば何かというと、2リーグがトップとして併存していることに意義を唱えている。トップリーグとしての縦の関係やピラミッド形態でやるべきだと指摘している。その指摘されたことがJBAとして傘下団体に対し、きちんとさせるというガバナンスの問題。スタートはリーグ統一の指摘から始まってはいるのは間違いないが、それができているかどうかがガバナンスであり、いずれも合わさった話である。独立した話では無く、象徴的に統一リーグから話は始まっているが、協会のガバナンスの問題。統一リーグ問題のことだけではなく、国内と国際のカレンダー調整なども、協会が向き合えば解決できるなのになかなか解決できていない、ということを指摘されている。結果として、強化の点の不足な答えになっている。単純に外国人が立てるオンザコート数の問題ではなく、仕組みそのものを変えていかねばならない。FIBAから指摘された3点はあるが、トータルしてガバナンスの問題を話をしている。なかなかそれを理解するのに時間がかかってしまった。
ーFIBAのタスクフォースが来るまで次の動きは待つのか、JBAとしてできることは進めるのか?
そうならないように、こちらから質問をしているところ。(タスクフォースが来日するのが)1ヶ月先と言われたら、待っているわけにもいかず、すぐに来るとなれば急いでいろんなことに着手しても違う方向になってもいけない。時間軸に関して、どう考えて、どうすれば良いのかなどを質問させてもらっており、その答えとともにうまくタスクフォースを活用しながらやっていきたい。
ー出場停止の期限は明確になっているのか?
具体的にFIBAから提示されていません。元々の問題点がクリアされるまで、当然資格停止状態になる。いつまでかというのはまだ見えないが、我々としてはリオ五輪予選(2014年8月〜9月頃)のタイミングまでには何とか間に合わせなければならない。
過去の事例が、各国で資格停止というのは結構ある。一つひとつ中身は違うが、ガバナンス問題であれば3〜4ヶ月で終わってるところもある。内容はいろいろ違う部分もあるが、とにかく時間をかけずに、来年のリオ五輪予選までには何としても解決しなければならない。
ー新会長の選任方法についてはFIBAが示した形でやるべきという話があるが?
そういう表現も確かにある。英文の1〜2行では実体は分からず、それについても確認した上でなければ進められない。
ーJOCや文科省も説明を求めてくると思うが?
昨日、制裁の話がFIBAから来た時に、JOCあるいは文科省、日本体育協会など傘下団体に対しては内容の説明をさせてもらっている。
ーJOC竹田会長から何か話はあったか?
昨日からは具体的なことはありません。関連したことであれば、国会の委員会か何かで質問があり、下村文部大臣からそれに対する答弁があったと思います。そのコメントを見ても、スポーツ界が一緒になって側面支援しなければいけないとのことでした。我々も傘下団体として、いろんなお話しがある可能性はあるかもしれない。
ータスクフォースはFIBAの人が来て、日本で立ち上げるということか?
日本に来ると聞いているが、どんな形で立ち上げるのか、協会の中に人が入るのか、あるいは特別な組織を作るのか、それらを含めて現在確認しているところ。
ー制裁が来た場合の責任問題について
深津会長が10月23日に今回の一連のことで辞任され、会長としての責任を取られました。今はなんとかこの制裁を解除に向けてやることが一つの責任の取り方だと思っています。その後どうなるかは、今後進めていく中で考えて行けば良い。
ーFIBAの定款の変更について
今年の8月頃に変更があった。IFが直接各国に対して自分たちの考え方を浸透させる。従来はFIBAの下に日本であればFIBA ASIAがあって、ワンクッションが必ずある組織体であった。今はそこを経由せずにダイレクトに言える仕組みに変えた。その方がスピード感が出ることも一環にある。
FIBAのことを熟知しているわけではなく、いろんな定款の変更などを見なければ分からないところではあるが、ワールドカップをホーム&アウェイ方式に変えることは、その国のバスケを盛り上がる方法論がある。FIBAがこの10年の中での一つの大きな柱として事業性を高め、バスケを盛り上がることに向けて変更した。サッカーができていることに対して、バスケもできるようにいろんな方策を考えている。
ー2020年東京五輪決定後、バウマン理事総長から日本への期待度も感じるが、具体的な話はあったか?
何回も会ってる中で、何度も話に出て来るのは、日本はポテンシャルは非常に高い。方法をしっかりすれば絶対にアジアでも強くなる。そういう思いが彼の中にある。とくに東アジアの中で今のような状況ではなく、もっと強くなれる要素があるという期待感はものすごく強い。日本の安全性や経済といった国力を含めた期待もあると思っている。だからこそ、協会がしっかりしろというところにつながる。
ーガバナンスや強化は目に見えづらいが、制裁が解除されるにあたり、どのようなイメージがあるか?
ガバナンスという観点は、中の話と外の話がある。協会内部でスピーディーに物事が進める組織体制、より良くできる仕組みを協会内で構築しなければならない。協会がいろんな連盟等の傘下団体に対して、筋道を立ててルールに則って進められること。分かりやすく言えばルールがあっても、そのルールでやりたくないと終わってしまっていては何も統制が取れていない。当たり前のようにルールに則ってやれるようにしなければならない。上から目線でこうしろ、という話では無く、一つのルールの中で、そのルールを守れる形にしなさい、とFIBAはいつも強調している。
ー統一リーグも、どこまで話がまとまればFIBAに納得されると思うか?
統一リーグをどういう形でできるかに尽きる。今までのやり方では限界があるかもしれない。その辺の詰めがこれから必要。残る30%についても、全く違う30%にするのか、継続した30%の中で答えを出すのか、そういうところだと思う。協会としての意思をハッキリと見せなければいけない。
ー外電を読むとバウマン事務総長は親善試合も金しているが、直近だとどの活動に影響が出るのか?
(広報)例年は5月に予定されている学生同士の韓国との定期戦となる李相佰盃。これが国際試合として、側近に設定されている。海外遠征活動としては、年末から男子U-16日本代表がドイツ・チェコ遠征に行く予定。これも具体的なことが分かっておらず、海外遠征に行くこと自体がダメなのか、行っても試合をしなければ良いのか、などは現在質問しているところ。
ーリオ五輪予選前の強化スケジュールはどうなるのか?
(広報)来年度の事業は現在すべて未確定であり、調整中、検討中という状態。これを受けて変更も出て来ることもあると思われ、発表できるものはない。
ー日本代表を目指す子どもたちに向けてどんな気持ちか?
これからの若い世代の方が、バスケットがこんなことで意気消沈することのないように、具体的に活動している内容をお知らせするとか、資格停止が早く解除されるようにすることが我々の使命であり、それに向けて一生懸命やるしかない。選手のみなさんにはモチベーションを下げないようにがんばってほしい。
付け足しになるが、リオ五輪予選の日程は確定ではないが、女子は8月末〜9月初旬、男子は9月下旬、いずれも中国で行われるという情報がFIBAから入っている。
FIBA 事務総長および IOC メンバーのパトリック・ボウマン氏のコメント
「後戻りができない状況に達してしまったことは残念ですが、今後の日本のバスケットボールのため、また 2020 年オ リンピックが日本のバスケットボールに与える機会を活用できるようするためにも、JBA の組織および国内競技大会 が FIBA 定款に完全に準拠するために重要な変化をもたらす絶対的な時期であると確信しています。
バスケットボールは日本において主要スポーツとなる大きな潜在性を持っていると信じています。我々は日本男女 代表チームが参加して、2020 年東京オリンピックのバスケットボールトーナメントが成功することを願っています。
バスケットボールを愛するすべての人のために、未来に向けた強いビジョンをもって準備を進める時です。我々はタ スクフォースがリードする、重要な改革過程にすべてのバスケットボールのステークホルダーが関わってくださることを 期待しています」