先日【NEWS】コーナーで紹介した──“バスケ難民ゼロプロジェクト”『MatchMake』でコートへGo!!──を覚えていますか? これは、JBA(公益財団法人 日本バスケットボール協会)が川淵三郎新会長の下、新たな体制と強烈なリーダーシップで日本のバスケ界の改革が推し進められる中、ボトムアップで「日本のバスケをもっと盛り上げたい!」という熱い思いでスタートしたプロジェクト&ソーシャルマッチチングサービスです。
今回はリーダーの中澤亮介さん(株式会社SURE代表取締役/写真)とシステムエンジニアの岡本 京さん(株式会社SURE)にお話をお聞きしました。一度だけではお伝えできないので、今後も続けて掲載していく予定です。
参考記事 ⇒ http://bbspirits.com/news/machmake/
──こういうサイトを立ち上げようと思った背景を教えていただけますか?
中澤:私自身、小学校から中学、高校まで部活でバスケットボールをやっていました。大学に入学後は「部活」ではなく、サークル活動としてバスケを続けました。その後、社会人になってからは、バスケそのものから離れてしまったんです。
それは、たまたま自分の周りにバスケをやっている人がいなかったり、見つけられなかったり……バスケも続けていくためのコミュニティがなくなってしまった、というのが大きかったですね。
──バスケを続ける環境になかなか出合えなかった?
中澤:地域の体育館や中学校など、施設を開放しているところへ出掛けて行けばいいのかもしれませんが、そこでのプレイが「自分のレベルに合っているのかどうか」がわかりません。気が引けたというか、二の足を踏んでしまったというか……ところが、ひょんなことから「積極的にメンバー募集を行っているクラブチームと出合った」んです。そこで改めて、バスケを楽しむことができたわけです。
──そうなれば、個人的には問題解決というわけですよね?
中澤:少しずつ他のチームと連絡を取り合うことができ、「ちょっとバスケがやりたいな」という時に、気軽にプレイできる“バスケ・コミュニティ”への参加機会が増えました。電話1本でバスケができる。ただ、そういうコミュニティが広がっていないのが現状で、まだまだ「バスケがやりたいのにできない人がいる」そう考えるようになったんです。
──ご自身の体験から着想を得たのが『MatchMake』ですね?
中澤:そうです。「自分と同じような経験をしている人がたくさんいるだろうな」っていうのが入り口になっています。そこからさまざまな情報を集めましたが、あるデータ(※1)によると500万人以上いるとされるバスケ人口の中で、平常的にバスケを楽しめているのは20%に過ぎないことがわかりました。残り80%は、かつての私と同じ環境にいるんだという事実が見えてきたわけです。
そこで、そういう人たちのために何か貢献したい、バスケ経験者が引き続きバスケを愛し、バスケを楽しむことによって、バスケ界全体が盛り上がって欲しいと考えました。その思いから“バスケ難民ゼロプロジェクト”を立ち上げ、『MatchMake』の仕組みを考えました。
■SNSはもう当たり前、一歩進んだ『MatchMake』
──創立メンバーはどうやって集まったんでしょうか?
中澤:私は外資系IT企業(シスコシステムズ)に勤務していましたから、「ITを活用して“バスケ難民”を救済(ゼロ)したい」という思いがありました。当時、チームを組んで営業SEを担う仲間に優秀なエンジニアがいたんですが、もし、『MatchMake』を立ち上げるのであれば、彼のノウハウやスキル、キャリアを最大限活用したい、そう考えて声を掛けたんです。その一人が岡本 京です。
──岡本さんもバスケ経験者?
岡本:いいえ、私はバドミントンです。仕事の合間や終業後のプライベートタイムに、「バスケでこんなプロジェクトを考えているだけど……」と聞かされているうちに、バスケに染まっていったというか(笑)……門外漢ではあったんですが、インドアスポーツを経験していたので、似たような課題があるんだろうと置き換えて考えることができました。そして、課題の解決にはこんな仕組みが必要だろうな、と私なり考えるようになったんです。中澤のベンチャースピリットにも興味を惹かれました。
「スポーツ分野でITを活用した新しいサービスの開発に携わりたい」そう思っていたこともあり、まずはバスケットから始めようということです。“バスケ難民ゼロプロジェクト”は、目の前にある課題をプレイヤー目線で解決しようという取り組みで、バスケ界全体を盛り上げたいという強い想いがあります。
──『MatchMake』をどういうプログラムしようとアイデアはすぐに浮かびましたか?
中澤:私が所属している「Wheelers」というチームを例にすると、主にLINEを使ってコミュニケーションを取り合います。「体育館が取れなかったけど、誰か練習試合のアレンジしてくれない!?」とか「どこか空いている体育館知らない!?」というコメントが飛び交っています。
──この状況をITで何とかしたいと思うようになったわけですね?
中澤:同じような悩みは、私が少しずつ関わっているクラブチームでもありました。LINEは仲間内のコミュニケーションには有効活用できても、それを外部へ広げて発信はできません。
──この課題を『MatchMake』に落とし込む際、必要な仕組みや工夫すべき点はどういうものだと考えていたんでしょうか?
岡本:それはシンプルなことで、試合相手を見つけるにしても、体育館を確保するにしても、みなさん社会人ですから時間的な制約がある。気軽に頼めるツテもない。だったら、そこをリコメンドしてくれればいいよね、ということなんです。
(リコメンド:顧客の好みを分析し、適していると思われる情報等の提供を行うこと。 あらかじめ登録された顧客情報を基に、趣向に合致すると思われる商品やサービスを紹介。顧客の希望に則した個別情報の収集・配信等、高付加価値のサービスもある)
ちょうど世の中の潮流として、ソーシャルマッチングが出てきました。facebookなどのアカウントを持つ人が増える中で、facebook内アプリが流行る傾向が出てきました。リコメンドでいえば、合コンやお見合いのサポートもあるほど(笑)で、「一緒にゴルフをやりませんか?」とか……そういうソーシャルマッチングが『MatchMake』に活かせるというのは早い段階で理解していました。ただ、われわれもfacebookに乗っかるのか、あるいは新しいサービスを構築すべきかはしっかり検討しました。
というのも、実はユーザーたちが「SNS疲れ」しているという現状があるからです。さまざまな情報を汎用的に共有するSNSは(mixi、facebook、Twitterなど)増えてきましたが、最近は成長が鈍化している。では、どういうものが流行っているかというと、何かに特化したサイト。
例えば、おいしいレストランを紹介したい人がいれば『食べログ』に情報を上げる。1人のユーザーがさまざまな顔を使い分け、1つのサイトにログインしたら、自動的に自分の仲間だけがいるようなコーナー、特定の興味や知識を共有している仲間だけのコーナーで活躍する、というスタイルが主流になっているんです。だったら、バスケ仲間が集まれば、それはすごいパワーになるのではないか、というのが『MatchMake』のアプローチです。
──自分が求めている情報(バスケができる場所、バスケがしたい仲間の募集など)を入手するなら『MatchMake』にログインすればいい、というわけですね?
岡本:そうです。一般的なSNSは自分に必要ない情報が溢れています。「来週の日曜日、体育館が取れました! 一緒にバスケやりませんか!!」という呼びかけをしても、自分の親だって見るかもしれません。そうすると、まったく関係ない情報が紛れ込んでくる(笑)。それはノイズになってしまうので、最初から共通の話ができ、ニュースも皆が共有している、その中でレベルの高い会話、ハイコンテキストな会話ができたほうがダイレクトにバスケが楽しめるのではないかと考えています。
(コンテクスト:コミュニケーションの基盤である「言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性」など。ハイコンテキスト:コンテクストの共有性が高いこと。伝える努力やスキルがなくても、お互いに意図を察し、通じ合うこと)
──単にバスケ難民ではなく、バスケの高等難民(笑)なんでしょうか!?
中澤:情報があるのはわかっていても、効率的に活用できる“場”がない。その場を提供するのが『MatchMake』です。最近は「まとめサイト」が流行っていて、溢れる情報をいかに絞っていくかに焦点が当たっています。
とにかくバスケ好きのためのサイトであり、場所とプレイヤーの確保・交流を促進するサービスです。そこにコミュニティが生まれ、どんどんその輪が広がればバスケがもっと盛り上がる、ムーブメントになると考えています。
──各地域のバスケットボール協会などとの連動・協働(コラボレーション)もすでに始まっているそうですが?
中澤:横浜市港北区バスケットボール協会との協働はすでは行われており、大会のエントリーに『MatchMake』をご活用いただいています。東京23区のバスケットボール協会にもアプローチを開始し、好感触をいただいていますから、今後もさまざまな展開を考えています。まずは草の根的な活動を重視し、多くのクラブチームに登録していただいた上で『MathMake』の有用性を広げていきたいですね。
“バスケ難民ゼロプロジェクト”と聞くと、自分には関係ないと思うバスケ愛好者がいるかもしれません。が、みなさんのアイデアや「こんなことができたらいいのに”!?」といったレスポンス(時には批判も含めて)があれば、どんどん進化させていくことができます。プレイはしないけど、さまざまなバスケ情報がほしいという声があれば、それにも応えていきたいと考えています。まだスタートしたばかりですが、本気で日本のバスケを盛り上げたいと頑張っていきますので、これからもよろしくお願いいたします。
『MatchMake』 ⇒ http://match-make.jp/
何だか面白そうなプロジェクトではありませんか? 若いメンバーが中心ですから、これから先、どのような進化、変化を見せてくれるのか注目しましょう! 次回は実際の活用例やこのプロジェクトを応援している方々の声を紹介できればと思います。