昨年から「エクストリーム出社」というのが話題だ。「早朝から観光、海水浴、登山などのアクティビティをこなしたのち、定刻までに出社をするエクストリームスポーツである」と、日本エクストリーム出社協会のサイトでは記されている。
「バスケが観たい」「選手に会いたい」「チームを応援したい」などバスケにまつわる様々な動機でファンの皆さんは会場に足を運ばれている思うが、それだけではなかなか集客数が伸びないのが現状だ。
現存するトップリーグ&プロリーグには、男女合わせて55チームが日本各地を拠点に活動している。それぞれのホームタウンには、アクティビティやコミュニティが少なからずあるはずだ。地名だけで思い浮かべてみても、北海道や新潟、東北地方などの雪国ではスキーやスノーボードといったウィンタースポーツがあり、沖縄ではダイビングやサーフィンなどがあるアクティビティ天国。
体を動かすだけがエクストリームではない。食に目を向ければ、食いだおれの街・大阪や餃子の街・宇都宮といった各地域の海の幸や山の幸、B級グルメを堪能しながら、合コンなどコミュニティ活動だってできてしまう。それらを動機づけしながらバスケ観戦とうまく組み合わせることで、バスケに興味が無い方々を“こっちの世界”に引きずり込んでしまおう、というご提案。
そこに山があれば登る!
10月1日に新しくできたばかりの会場であるエスフォルタアリーナ八王子。固定席だけで2000席あり、WJBLをはじめ、日立サンロッカーズ東京(NBL)や東京サンレーブス(bjリーグ)、カレッジバスケでも多く使用されている。JX-ENEOSサンフラワーズを迎えた羽田ヴィッキーズのホームゲームが開催される12月7日(日)、ようやくこのアリーナへ行く予定が立った。
駅から近いとは聞いていたが、京王線狭間駅とはどこなのか?そこから調査を始める。
路線図を見ていくと“八王子”と名はつくものの高尾駅からほど近く、京王線高尾駅の一つ新宿寄りであり、逆に一つ先へ行けば高尾山口駅に着く。そう、ミシュラン3つ星に輝く観光名所「高尾山」とは目と鼻の先にある。
そこに山があれば、登るでしょ!
高尾山は2〜3度登ったことがあり、たしか頂上までは1時間程度だったと記憶している。14時ティップオフに間に合わせるためにも、逆算しながら余裕を持って4時間前(10時)に登山開始する計画を立て、「エクストリームバスケ観戦」がスタート!
時間に追われる忙しない登山
1本電車に乗り遅れてしまい、10時半に高尾山アタック開始。
気軽に登れる高尾山だけあり、子どもからご年配まで多くの方々がおり、その流れに沿って山道を登り始める。
山頂へ向けてはいろんなコースがあるが、今回は稲荷山コースを選択。
落ち葉や寒さによる霜が溶けてウェットな状態であり、登山路は滑るので要注意。10分も経たないうちに動悸が激しくなる。寒波が日本列島を包み込んでいたために着込んでいたこともあり、あっという間に汗ばんでいく。ダウンジャケットとスウェットを脱ぎ、ロンT1枚でも快適なほどだった。
頂上まで1時間程度とはあくまで勝手な記憶であり、実際のところは分からない──。
14時試合開始は待ったなし。紅葉や富士山がキレイであったがチラ見するだけに留め、時間に追われながらゆとりなき頂上アタックが続く。
目の前には急勾配の階段が待っている。すでにモモが笑い始めていた。見上げる階段はどこまで続くのか?この先が頂上なのか?時計に目を落とせば不安と焦りしかない。
幸い、心臓破りの階段を登りきると、そこは人で溢れかえるゴールが待っていた。
登頂成功!ティップオフに間に合うまでがエクストリーム
57分で頂上制覇!達成感も束の間、下山の時間を考えねばならない。
11時半に登頂し、帰りも1時間かかると計算すれば12時半。遅くても13時には高尾山口駅に戻れるだろうと思ったところで、ようやく一呼吸つく。景色を見渡せば、突き抜ける青空、見下ろす都心のビル群、そして目の前にそびえる富士山があり、高尾山を堪能することができた。
帰りは薬王院などがある1号路を選択。
こちらは稲荷山コースと打って変わって、すべて舗装されていた。おみやげ屋さんに立ち寄ったり、紅葉を愛でたり、自然の音に耳を澄ましたり、復路は余裕を持って快調に下る。時間通り12時半前には下山し終え、名物とろろそばで腹ごしらえを済ます。
山登りをし、お腹を満たすもまだ終わってはいない。
「エクストリームバスケ観戦」とは、その名の通りバスケを観戦することこそが最大のミッションである。
高尾山口駅からエスフォルタアリーナ八王子のある狭間駅までは2駅、たった4分。13時過ぎには会場に着き、ウォームアップから羽田 vs JX-ENEOSを余すことなく観戦することができ、任務は遂行された。
高尾山+バスケ観戦は今週末に実施可能!
高尾山登山+バスケ観戦は、今週末にも実施できる。これを逃すとエスフォルタアリーナ八王子での試合は来年3月の東京戦まで空いてしまう。週間天気予報では晴時々曇りとなっており、WJBL戦が2試合も見られる今週末は狙い目だ。
- 2014年12月13日(土)[チケット情報]
14:00 シャンソン vs トヨタ紡織
16:00 トヨタ vs 羽田 - 2014年12月14日(日)[チケット情報]
14:00 シャンソン vs トヨタ紡織
16:00 トヨタ vs 羽田 - 2015年3月27日(金)19:00/28日(土)14:00 東京 vs 仙台
山を登っていると、頂上を目指しているのになぜか下りになる箇所が幾度となくある。これは人生や日本バスケ界に当てはめて考えることができると思いながら、山道を進んでいる自分がいた。今、バスケ界は下り坂であることは否めない。だが、誰もが目指せる明確な頂上さえ作れば、どんな坂道であっても苦とも思わず、モチベーション高く登り続けることができるはずだ。
自然の中に身を投じれば、心が洗われる。混沌とするバスケ界ではあるが、会場に行けばやっぱり楽しく、応援すべきチームや選手たちが待っている。
当たり前と思っている何気ないことも、バスケ観戦前に多くの方を巻き込んで一緒に行えば、それはもうエクストリームバスケ観戦である。いろんなアクティビティとともにバスケを観戦し、休日を欲張っちゃおう。
泉 誠一